NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

　携帯電話のアプリゲームの続編がNDSで出るということで、期待していた。

　オープニングのアニメはいい感じ。
　音楽も、有名どころの作曲家が関わっている。
　携帯電話のアプリゲームおなじみのキャラクターが、携帯よりも大きな画面で見られる。システム等、不備は無かった。序盤の劇中劇ならぬゲーム中ゲームという作りも面白かったのだが…のだが…

　このゲームで唯一楽しかったのは携帯アプリに登場していた癸生川、伊綱、尾場、音成等のキャラクターのやりとりを観察したり各キャラの新たなエピソードを知ることだった。漫才モードなのかと思うくらい微笑ましい部分もあったりして。

BAD/REQUEST

　何といってもこの手のゲームはストーリーで評価が決まる。しかしそのストーリーが、読み終わった後の満足感が無い。むしろ、どうしようも無いという「無力感」「不気味さ」で暗い気持ちで終わりを迎えることになる。

　この物語の犯人には、犯人の過去を考慮したとしても全く同情出来ない（ああいった恵まれない環境でも、健気に頑張っている人も世の中にはいるので）。作者は、そういうどうしようもない若者を描きたかったのだろうが、個人的にはそういう「どうしようもない人間」に振り回される物語にはお金を払いたくない。
　
　全く落ち度が無い被害者が殺され損で、何の無念も晴らしてあげられないのが大変な不満。感動はなく、前作の携帯アプリ「白鷺に紅の羽」には間違いなく負けてしまっている。値段は携帯アプリの方がずっと安いしなあ。

　犯行場面は、文章で紹介されるが大変なグロテスクさで、精神的ブラクラ並の衝撃だった。なのにCEROレートが全年齢対象とはどういう事か。審査の時に、問題の文章を提示していたらレートが上がったのは間違いない。全年齢対象で発売することを制作者側が望んだのであったら、キャラクターのイラストが可愛いタッチという事を考慮した上で、もっと違う部分で「魅せて」欲しかった。

COMMENT

　私が癸生川シリーズに期待していた理由は、「人情を感じさせるミステリー」を携帯アプリで発信していたからだった。特に携帯アプリの「白鷺に紅の羽」は凄かった。次第に某キャラの背負った過去と決意が明らかになる部分は見事としか言いようが無い。
　ところが、このゲームのテーマや犯人は、主要キャラとは何の繋がりもないのである。（もっともあんな犯人と繋がりがあっても困るが…）「幻影に抱かれ、私は仮面をかぶる」というキャッチフレーズの割には、犯人は幻影に抱かれちゃいないしなあ（自分の立場を利用して、犯罪の証拠も消しつつ殺人している普通の極悪犯）
　せっかく「携帯」の枠を超えてNDSという大舞台なのだから、主要キャラの魅力が炸裂するような物語をベースにして欲しかった。もしこのシリーズが「現代社会の問題」を反映することを目指したゲームだったとしたら、題材とその料理の仕方によって善し悪しが左右される事になるだろう。そんなわけで、携帯アプリではその後も続編が出ているにもかかわらず、「白鷺に紅の羽」以降はあまり遊んでいない。題材がやばそうなものは敬遠してしまうのだった…。