NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

とにかく、基本システムが非常に快適。タッチペンによる会話・捜査・メッセージ送りなどの体感的な操作が非常に細かいレベルまで気を配られており、さらに2画面を使った読み返し機能・いつでも設定変更・一瞬でセーブなど、痒い所に手の届くユーザビリティが敷かれている。メッセージを読み進めるタイプのアドベンチャーゲームにおいて、この操作性は一つの到達点になると思う。
そして、アドベンチャーゲームにおける最大のキモであるストーリーは、質・ボリュームともに文句なしのデキ。現実とネットワークの世界を交差する事件や、ネット・少年犯罪を中心に据えたテーマ性など、よもすれば焦点のボヤけそうな数々のテーマと視点をきっちり1つのストーリーとしてまとめている手腕は見事。先へ先へとグイグイと引き込む魅力は確かにある。結末が多少強引なのは目をつぶろう。
場を盛り上げる音楽は、決して派手では無いが音質も含めてかなりのレベル。DSのゲームの中でもかなり上位に位置するクオリティだと思う。DSのスピーカーよりもヘッドホン着用のプレイをオススメしておく。
他、細かい演出や選択肢のタイミング、相手の顔を見る会話、コメディとシリアスのバランス、携帯アプリユーザーならニヤリとする設定……などなど、プレイを持続させる配慮が行き届いていて、最後までストレスなく快適にプレイすることができた。
いやもう満足。と言いつつ2周目のプレイ中なのだが。

BAD/REQUEST

システムは十分に練られているのだが、ゲームとしてのオリジナリティは旧来のアドベンチャーゲームの踏襲でしかないため、真新しさに欠ける。ストーリーの進め方も結局は「総当たり」であり、快適さを除いてしまうと、悪く言えば平凡なゲーム性になってしまう。
あとは人物グラフィック。画風はまだ許せるとして、基本デッサンなどにどうにも違和感を感じる。ここでアピールを失敗している感があるのは残念。まぁ、実際はプレイしているうちに気にならなくなるし、この気の抜けた絵が重いストーリーとのバランス取りにもなっているわけだが……そこは実際にプレイしないとわからない部分でもあり、やはりイメージ的にマイナス点。
欲を言えば、メモの最下段だけは2週目以降に持ち越しさせてほしかった。

COMMENT

従来のアドベンチャーゲームの形式というものを突き詰めた結果の一つとして、このゲームがあると思う。それほど快適で親切で、そして考えさせられた。アドベンチャーゲームが好きな人であれば、迷わずプレイする事を推賞しておく。
マスコミが囃し立てるニュースや多感な少年少女の悩みを切り出し、それらを「違う」とばっさり切り捨てる潔いストーリーは、一度触れてみる価値はあると思う。