NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

このゲーム単体で、良いなと思ったポイントは以下の二つです。

○クリアまでは、野生種は新ポケモンのみ。
（プレイヤーはPGLで隠れ特性つきの旧ポケモンを入手可能です）

○技マシンの使用回数の制限がなくなったこと。
　一度買ったり、拾ったりすれば後は無制限です。これは有りがたかった。本当……。

○冒頭のシーン
　主人公、チェレン、ベルの三人で「せーの！」と踏み出すシーンは素晴らしかったです。あのシーンだけは、新しい旅への始まりを感じてわくわくしました。

ただ、これらの利点も裏を返すと非常に残念なものとなっておりますが、それについてはBADの項目で述べていきます。

BAD/REQUEST

長文になるほどに、悪い点のほうが目に余るレベルでした。

　第一の改善要求ポイントは、キャラクターとシナリオですね。
　ちょっとキャラゲー化してるのかなーとか、伝説が強制なのはちょっとそぐわないな、とHGSSでもちょっと思ったのですが、それが悪化していました。
　しかも好感を持つことが難しいキャラが目立ってる。
　言ってることとやってることが一致しないどころか底が浅い上に、言動と存在が目障りかつ不愉快なプラズマ団、支離滅裂な言動のジムリーダーや、唐突に悩みだす幼なじみ二人とか、色々演出が間違っているキャラが多いのですが、特に酷いのが「Ｎ」だと感じました。
　何が酷いと言えば、彼は「主役」の「座」を強奪してます。
　ポケモンの主役は「ポケモン」ですよね？　なのに、ＢＷは「Ｎの、Ｎによる、Ｎのためのゲーム」に終始してます。
　ポケモンと主人公という関係がまるで蔑ろにされていて、アクセントの筈の「悪の組織」が出張ってきて、全部塗りつぶしている。
　しかも彼の主張は支離滅裂なプラズマ団のボスらしく、主張と行動が一致していません。
　おまけに酷い電波キャラです。
　そんなのが主役を乗っ取り、ポケモン図鑑を埋めると言う楽しみ、ライバルと切磋琢磨する楽しみを奪い、リーグに挑戦すると言う目的をないものにし、ポケモンと一緒に強くなっていくと言う感覚すら奪っていく。
　これで「楽しい」なんて言えません。不愉快の一言に尽きます。
　しかもシナリオは基本、Ｎを擁護しています。
　基本はＮありきで、登場人物のほとんどはＮを持ち上げる為の舞台装置と思えてならない展開になってます。
「今、自分はポケモンやってるんだよね……」と何度も思いました。
　その疑問がＮに対する不愉快さに対して拍車をかける。
　別にＮの可哀想ストーリーなんか見たくないんですよ。
　Ｎなんぞよりも、別項目でも書きますが、プレイヤーが泣く泣く経験値の源にすることによって、狩られ続けるタブンネのが可哀想だと思います。
　プラズマ団もそうやって酷い目にあってるタブンネやポケモンを擁護する団体ならまだマシだった。
　そんなＮ絡みで噴出する矛盾が苦痛でしかなく、クリアを断念しました。
　マイナーチェンジ版ではＮの出番を全て削って、プラズマ団の主張と行動も少しはプレイヤーに考えさせるものにする、幼なじみたちの葛藤のきっかけをもう少し深める、リーグやチャンピオンを蔑ろにしない、Ｎに力を入れすぎたせいで、非常に適当になっているジムリーダーも言動に一貫性を持たせるなど、リメイクレベルでの改善が必要だと思います。

　第二にＵＩの劣化。
　Ｃギアが占領する下画面、メニューを出すのにＸボタン必須。
　Ｃギアそのものも外出時以外利用しないので、意味なし。
　バッグも細かい区分が消えて、ぐちゃぐちゃ。一応ソートはできるものの、ソートの意味がないとか、前作のHGSSより劣化してどうするんですか？

　第三に新しいポケモンのデザイン。
　コピペロスを初めとして、見た瞬間「おい！！」と盛大に突っ込みたくなるデザインが目立ちます。ゾロアとかゾロアーク、タブンネ、エモンガ、チラーミィ、チラチーノなど良いものもいるのですが、これはないと思うポケモンの多かったこと。
　ほとんどのポケモンには好みの問題があると思うので、自分が酷いと感じたものは上げませんが、コピペロスは好みの問題以前だと思うので敢えて上げさせて貰いました。
　後、ついでに進化の描写も……「デジモンか！」と突っ込みました。あれじゃ、ますますポケモンがデータのように扱われているのが辛かったです。
　
　第四にエンカウント率
　マップが無駄に広くなっても、改善しないエンカウント率。
　方向転換で出会う野生のポケモン。体力のないときにはＤＳをぶん投げたくなります。
　
　第五に橋と張りぼての町
　橋は一つあれば十分です。
　また、町が張りぼてで無駄に広い。
　移動が面倒だったり、カメラワークが無駄に気合いが入ってるなど、見事にユーザ無視のゲームデザインが出ており、「一体、誰にゲームさせたいんだ？」と思いました。

　第六にシモネタの悪化。
　個人差はあれども、もはや恒例になってる「きんのたま」おじさんぐらいなら可愛いものと思っていました。
　けども、観覧車イベントとか一部ポケモンのデザインとか名称に我が目を疑いました。これ……子どももやるんだよ、と。
　特に観覧車イベントは苦笑も沸いてこないレベルで、全く笑えません。しつこいカメラワークもいりません。

　第七にポケモン格差の拡大。
　対戦はしないですが、ちょっとこれは……とシナリオ攻略中にも思ったので上げます。
　PGLのひどさは皆さん語ってるので脇において、PGL産のポケモンの特性と技格差の拡大は心底、酷いと思います。
　強化されすぎたケースなら、カイリューが真っ先にあがります。このポケモンは自分のお気に入りでもありますが、それでもちょっとやりすぎだなーと思います。元々厨ポケと言われる性能と技はあったんですけどね……。単純に他の竜ついでに狩られるとか、他に比べると鈍足だったのが痛いだけで。
　そんなカイリューとは逆の立ち位置なのが、ブースターら不遇ポケモン。
　ブースターも自分のお気に入りなのであげますが、このポケモンは元々覚える技と種族値のバランスが悪く、高い攻撃を生かせないと言う状況から長らく強化を望まれていました。
　けども、PGL産は教え技の廃止のあおりで「馬鹿力」を喪い、新技の追加もなく、PGL産が持つ特性はＨＰの種族値が低いブースターには使いにくい「根性」とカイリューの真逆を行く状況。
　他の方も例に上げているデリバードと言い、冷遇ポケモンをより冷遇しているのではないかと疑われても仕方ない状況が浮き彫りにされてきています。
　金銀の四天王であるカリンが言った「強いポケモン、弱いポケモン」の精神は何処にいてしまったのか。と哀しくなる次第でした。
　ユーザが「みんな違って良い」というスタンスの消滅はもはや呆れる以外ありません。このスタンスの復活を願います。

　第八にＰＧＬとシリアル商法
　ひどさは皆さん言ってる通りなので、詳しくは書きません。
　ちなみに、海外じゃシリアル商法、映画商法で配布されるポケモンは無料です。

　第九にタブンネ狩り推奨。
　経験値をレベル歩合にしたというのはアリだと思いますが、レベルのあがったポケモンの経験値かせぎの為に経験値を高めに配分したタブンネを出して、そのタブンネを狩れと言うのはどうかと思います。
　そりゃ、今までもプレイヤーが酷い方法をとることがありました。ちょっと良心が痛む、大爆発による育成とか……。
　でも、ＮＰＣにタブンネ狩りを推奨させるような台詞を言わせるのはどうかと思います。それぐらいならジムリーダーとの再戦や、路上にいるトレーナーとの再戦ができるようにして欲しかった。
　そっちのがプレイヤーも気分的に楽です。
　後、ハイリンクのミッション。デルパワーはお助かりですが、たまたま近くにいた知らない人にモンスターボールを290円で買わせるとか、モラルの観点からも首を傾げます。
　大人だけではなく、小学校低学年ぐらいの子どももやるゲームというのを忘れないでください。

　第十にGTSの仕様。
　ミネズミの対価がレシラムとかゼクロムと言う無茶苦茶なレーティングはできないようにする仕様の実装を望みます。

COMMENT

　ゲーフリはポケモンを「中二病患者御用達」ゲームにしたいのでしょうか？　でも、それなら他のゲームをやると思いますよ。
　初代と金銀で田尻さんが求めたゲームやらせてください。このＢＷは「コレじゃない」感が半端ありませんでした。
　ＯＰからＮづくしの時点で嫌な予感はしていましたが、ここまで酷いとは思っていませんでした。

　後、あまりゲームのレビューと関係はないのですが、ちょっと前に空港でポケモンのイラストが塗装された飛行機を見て子どもが喜んでいる光景を見ました。
　その様子は見てるこっちも心が温まり、ポケモンというのは子どもたちに愛されてるブランドだなーと思いました。
　そして、あの光景とＢＷの「Ｎの、Ｎによる、Ｎの為のゲーム」状態を照らし合わせて考えると、プレイヤーサイドの求めるものと制作サイドのやりたいことが見事に行き違っていると思います。
　今後、ＢＷの路線でいこうとしたらメインユーザである子どもたちに「こんなのポケモンじゃない！！」と思わせてしまい、ポケモンというブランドが地に墜ちていくだけではないでしょうか？
　もっとも、子どもたちはアニメが基準なのかも知れませんが、中にはアニメからゲームに手を出す子もいるでしょう。子どもたちをがっかりさせるようなものを作らないで欲しいです。
　初代・金銀が多くの人に愛された理由や長らくポケモンが愛されてきた理由、その辺をもう一度、原点に立ち返り見直して下さい。
　それに、十数年前に刑事事件まで起こしてまで、守ろうとしたのが何なのかもう一度思い出してください。

　既にFFが制作サイドの自己満足を優先させた結果、ブランドを失墜させていきました。DQも似たような状況です。
　好きなゲームのブランドが落ちぶれていくのを見るのは哀しいし、二度と見たい事ではありません。
　だからこそ、ポケモンには同じような道を歩んで欲しくないし、今の時点では、リメイクに近いマイナーチェンジ版、次のRSEのリメイクなどで挽回できるチャンスが残っています。
　できればこういう声が届いて欲しいと思い、今回はレビューをさせていただきました。

　最後に、改善して欲しいポイントをうまくまとめきれず長文になってしまいました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。