NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

主人公のデザインは、男女ともに良好です。今までより年齢が高めに設定されているらしく、それが新鮮でした。

技マシンが使い捨てで無くなったこと。貴重な技マシンの使いどころに頭を悩ませていたものですから、これはうれしいです。

秘伝技の出番が大幅に減少したこと。秘伝技は一部を除き弱いうえ、シナリオをかなり進めないと忘れさせられません。そのため、今までは秘伝技専用のメンバーを連れて歩くことが多くなり、パーティ圧迫ということになりがちでした。しかし今回は、波乗りでさえ寄り道程度にしか使いません。おかげで、パーティ編成がやりやすくなっています。ダンジョンの難易度が大幅に下がったことは賛否分かれそうですが…

デルパワーの存在。これがあるとないとでは経験値、金稼ぎ共に大違いです！

ダウジングマシンの使い勝手が良くなったこと。下画面に展開しておけば落ちているアイテムに自動反応するようになったので、便利です。ただ、下の不満点のあまりの多さで、かき消されている感がありますが…

BAD/REQUEST

「力の入れ所を間違っている」。これが、本作のすべてです。

ヒウンシティ、ライモンシティの遊園地やドーム、スカイアローブリッジ、四天王の部屋などは最初見たとき「おおっ」と感動させられるのですが、立派なのは見た目だけで、中身はスカスカだったり、不便だったり、テンポが悪くなっているだけだったりします。さらに言うと、3Dマップに対しキャラがドット絵な為、視点に角度がつくと距離感がつかみづらいのです。
特に橋は、増田ディレクターの好みの影響か、無駄に多いです。スカイアローブリッジ、ホドモエの跳ね橋、シリンダーブリッジ、ワンダーブリッジ…ゲーム中で出せる橋の個性などたかが知れていますから、水増しするのはよろしくないです。

プラズマ団も、ポケモンのタブーに挑戦するという意味では「すごい傑作になるかも」と期待していたのですが、「ポケモンの解放」を訴えていながらやっていることはポケモンバトル、ポケモンに暴行と、矛盾の塊です。しかも今までの悪の組織に合った愛嬌、人間味も薄く、倒しても逃げられるわで、ひたすら不愉快。特にＮは、まさに作者の都合のいいように作られたキャラクター筆頭で、OP、EDに登場するなど、実質の主人公扱いです。が、散々奇怪な言動で周りに迷惑をかけた挙句、反省や償いもせずに旅立ってしまうというのがこれまた不愉快でした。彼の引き立て役にされたチャンピオン・アデクが不憫でなりません…

他のキャラクターで言えば、ベルはキャラ的には良かったのですが、物語が進むにつれ、（バッジを全部そろえるほどの強さを持っているのに）「わたしは強くないから」と卑屈で弱気な言葉を繰り返すようになってしまい、残念でした。チェレンも強さにこだわっている背景の説明がないので、困惑させられました。しかもその割には、連れているポケモンは弱いものが多く、これまた矛盾しています。はっきり言って、ベルの方がよっぽど強いです。

ジムリーダーも、カミツレはベルの父説得イベントでは非常に素晴らしいことを言っているのですが、ベルの成長フラグを潰したと考えると複雑ですし、ヤーコンはホドモエに着いた時点でプラズマ団を逃がし、それを主人公の所為にして手伝わせ、ジム戦前に再び逃がすという破綻っぷリ。シャガもいいキャラクターなのですが、「モンスターボールはポケモンの心までは支配できず、逃げたければ自力で逃げる」という、ポケモンの設定を根底から破壊しかねない問題発言をしでかしています。

これらのキャラクターが、シナリオを進めようとするたびに絡みまくってくるのですから、息苦しいったらありゃしません。ただでさえ今回のマップは不自然な形で、狭いというのに…あと、シナリオで絡んでくるわけではありませんが、男主人公による夏の観覧車イベントには、あまりのえげつなさに本当に吐き気がしました…

新システムのCギアも、ゲームを始めようとするたびに起動するかどうか聞いてくるのがうっとうしいです。使うのは外に出かけるときくらいなのに…しかもいいえを選択しても注意書きが出てきます。ゲーム中に起動させた時も、急にタッチだけしか反応しなくなるので、フリーズと勘違いしてしまいます。オフにしていても、下画面が時刻表示しか意味を成していないので、メニュー画面を表示させてほしかったです。ハイリンクのミッションも、「近くにいるプレイヤーの手助けをする」システムのはずが、実際はツリーのレベル上げやデルダマ集めのために他のプレイヤーと絡むわけですから、むしろ迷惑になることのほうが多かったです。中でも、他プレイヤーに高い値段で物を買わせるぼったくりミッションには、作り手のモラルを疑いたくなりました。

これらの新要素には、無駄と言っていいほど力を入れているのですが、UI、育て屋のシステム、教え技、自転車、きのみ育成など、肝心の要素がことごとく劣化していたり、廃止にされていたりします。ポケシフターでアイテムだけでなく、秘伝技持ちのポケモンが送れないのも気になります。もしかしたら、波乗り・空を飛ぶピカチュウを送れないようにすることで、その配布商法を続けようという魂胆でしょうか？きな臭いです。エンカウント率の異様な高さも、結局改善されませんでしたし…GOODの部分で評価した技マシンですらも、羽休めや悪の波動、ステルスロックなどの重要な技が削除され、代わりに焼き尽くす、虫の抵抗など、明らかに性能の悪いものに変更されていたり、冷凍ビームや火炎放射といった、使いやすいものが手に入るのがシナリオクリア後だったりするので、プラマイゼロ、いや、マイナスの方が勝っている有様です。

やりこみ要素についても、今までと比べると妙に少ないような気がします。ミュージカルはコンテストやポケスロンの劣化ですし、リボンも集められない。トレーナーやジムリーダーと再戦もできないし、地下通路でアイテム発掘や秘密基地を作ることも当然できない。なので、クリア後に妙な虚無感に襲われました。これではすぐに飽きます。

ポケモンのデザインもとやかく言われていますが、中でもトルネロス・ボルトロス・ランドロスのデザインは最悪です。ただでさえ風神雷神というとっつきにくいモチーフなのに、よりによってコピペなのですから。しかも伝説のポケモンという立場でやらかしてしまったのがまた…

「多様な考え」というテーマがありながら、結局は一つの回答しか選べないことが多いです。レシゼクのストーンがらみのイベントはその典型例ですが、個人的に最も不愉快だったのは、フキヨセの洞窟にいる老人の存在でした。伝説の三闘ポケモンの話を聞かせてくれるのですが、それを断ったときの反応がとにかくひどいです。「お前には失望させられた、出て行け！」という具合に、ボロクソに罵ってくるのです。はっきり言って、カチンときました。結局、その話(しかも長い…)を必ず聞かないと伝説ポケモンに会えない上、対戦後にまた長い話を聞かされる。「そんなことさせるくらいなら、どっかの家に行くなり人に聞くなりで、その話を好きに聞けるようにしてくれればいいのに」と思いました。あるいは断っても戦えるようにするのはもちろん、「その話を聞きたくなったらいつでもおいで」という風にフォローしてほしかったです。

そして最大の汚点はPGL、これにつきます。おそらく、今までのポケモンの歴史の中でも最大級のひどさじゃないかと思います。ユーザーがたくさんいるのにサーバーが貧弱なせいで、発売二日目でダウンするわ、復旧まで一カ月近くかかったのに不具合が起きまくるわ、重要なアイテムであるきのみがパソコンがないと増やせないわで、最早「PCと連動する」というより「本編で実装すべきコンテンツを強引に切り離した」という表現の方が適切に思えます。きのみの育成をゲーム内でできるようにするのはもちろん、夢特性のポケモンもサファリみたいな施設で入手できるようにするなりしとけば、こういう事態を避けられたと思うのですが。これの企画時に、「それ、PCだよね？本作と何の関係があるの？」という言葉が出たらしいですが、まさにその通りです。そしてこれのひどさの最たる点はシリアル商法です。有料なのにどのポケモンがもらえるか選べず、（今のところ）オスしか出てこないので、夢特性を遺伝させることもできない…そのため、目当てのポケモンが出るまでカードや雑誌などを買いあさり、使った後はポイしたり売り飛ばすという、モラルの問題に発展することも、十分に考えられます。

COMMENT

プレイヤーのことを忘れて、自己満足だけで作り上げたような作品でした。

ストーリーに力を入れようとしたのはわかりますが、その内容はポケモンというゲームにミスマッチな上、破綻しまくりです。他にも、季節などどうでもいいような所には力を入れているのに、プレイヤーが本当に必要としているものを改悪したり、削除したりする。はっきり言って、こんなところでオリジナリティなんか発揮しないでほしいです。

しかも今回、バグなどへの対応といい、商法といい、本当にひどいです。フリーフォール＋重力バグへの対応を「バランス調整」と言い切り、御三家シリアル商法では好きなポケモンを選べない（しかも当たり外れが非常に大きい）、おまけに散々「発売から一ヶ月限定配布」と謳っていたビクティニが来年の映画で再配信、しかも前の配布にはなかった特典つきと、ここまで来るとユーザーをなめているとしか思えません。

そんなことを続けていたら、いくらポケモンという巨大コンテンツでも、やがて見限られると思います。実際、在庫が余りまくったり、中古屋で値崩れが始まっているそうです…