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GOOD!

・「世界樹の迷宮」の続編が出たこと
「世界樹の迷宮」シリーズも続編の存在を匂わせながらも続編が出にくい状況（例えば新納一哉氏の移籍など）に追い込まれることが多かったため、こうして2年の時を経て続編が出たのはファンには幸いといえよう。
シリーズ初の要素であるシナリオ分岐やサブクラス（本職とは別に取る別のクラス）、大航海クエストの他にも、システム周りではクラスの完全一新など「マンネリ打破」とも見て取れる要素が多いので新鮮な気持ちでプレイできる。
・前作から改善された部分
前作でレベル99を目指すに当たって30回近く「引退」を繰り返さなければならなかった事の反省からか、3竜撃破でレベルキャップが解放されるようになったり、「宝典」系のアイテムでパラメータを伸ばす事ができたり（引退後でもそのキャラに引き継がれるので、頑張れば全パラメータ99のキャラも作れる）、ドロップアイテムの条件を無視してドロップアイテムを獲得できるアイテムやリミットスキルがあったり、FOEの経験値が復活しており（2では倒しても経験値が得られなかったので必要以上に倒す意義も薄かった）慣れてくると経験値稼ぎのいい「お得意さん」にできたり、コモンスキル「聞きかじりの成長」のおかげで控えのキャラも育てやすくなったりと、主にやりこみ要素に改善点が多く見られたのは評価できるかと。

BAD/REQUEST

・大航海全般
本作の売りとなっている大航海だが、他の方が指摘されるように自由度が低かったのは問題だった。
殆どパズルのように移動しなければ目的地に辿り着けず、また特定の階層まで到着しないと船が改造されず（あるいはそこに至るまでの船装備もないため）どう足掻いても辿り着けない場所が多いので必要以上にやる意義も薄かったのだし。
せめて大航海で遠くの町に辿り着き、そこでしか買えない強力な武器を購入できる（商会では扱っていない分特殊な効果を秘めていて高いなどのデメリットがあったとしても）などの要素があればまだ航海を必要以上にしたくなったのではなかろうか。漁で稼ぐにしても勇魚狩りか後半の方に釣れる魚でないとまともな儲けが期待できず、迷宮内で伐採・採掘・採取したほうがはるかに効率的で回復アイテムの在庫も確保できるという利点に負けているのだし。
また、大航海クエストでNPCが仲間になり戦うのだが、そのAIにも臨機応変に対応してくれる者はまだしも、後先考えずスキルを使いまくって肝心な時にガス欠になったりメディカでの回復くらいしか行わず大抵は防御してるだけで弾除けにしか使えない者など、邪魔に感じる事が多かったのもマイナスだった。
大航海クエスト自体慣れてくるとお手軽な経験値稼ぎの場所に変わるのだが、その時でもNPC生存の分の経験値は天引きされるのでNPCの存在が邪魔に感じる事も多かったし。
・前作から何も改善されていないところや改悪されたところ
前作で不満だった所である「武器・防具の種類は多いのに使わない物が圧倒的に多い」事が改善されておらず（ただでさえ慣れている人は伐採・採掘・採取で金を稼いで有事に備える傾向があるため。その気になれば安物を買うより強力な物を買えるのだから）、前の階層のドロップアイテムで作れるものを買う前に次の階層のドロップアイテムで作れるものが店頭に並ぶ事も珍しくなかったのは問題だった。これは大航海クエストでの報酬にも当てはまり、そのクエストボスを倒した時の装備より弱い物を貰って失笑することも多かったのだし。
また前作から改悪された部分として、磁軸の柱（自分で起動させねばならず1箇所しか使えないが、迷宮の中間から再開できるので仕切り直しに便利）の消滅や、特定のクラスがいれば開く隠し通路（中には大抵その階層で作って買える武器防具より1ランク上のものがあった。意外とその性能は馬鹿にできず、その気になれば「2」は店で装備を買わずともイベント・クエスト・ダンジョンで手に入る装備だけでもクリアはできる）の消滅、クエスト総数の減少および周回でもクエスト進行状況がリセットされず、そのため2周目はただ黙々と迷宮に潜りイベントを進めるだけになりがちなど、細かい部分で改悪された部分が多かったのはいただけない。
・サブクラス
物語を進めていくとメインクラス以外にもサブクラスに就く事ができ、それにより戦略の幅が広がるのだが（クラスの一新により、前作で猛威を振るった「アザーズステップ」「オールボンデージ」「ペイントレード」「核熱の術式」などの強力なスキルがなくなったことへの救済措置か）、組み合わせ次第によっては本職の立場を無くしてしまい、そのためパーティーの無個性化につながりかねないのはマイナスだった。
特にファランクスの3色ガードやファーマーの各種探索用スキル、プリンス・プリンセスの大多数の号令など能力依存のない物はメインクラスで使うよりサブクラスで使った方がはるかに活用できたのだし（そのためメインクラスで使われないクラスもいくつか存在した）。
またサブクラスで補えない専用スキルが存在するが、これもサブクラスとの組み合わせでは本職を簡単に空気化してしまうものも多く（特にTP回復・TP消費軽減系の専用スキルはスキルは強力だが燃費の悪いサブクラスと組み合わせるとすごい事になる）、結果としてパーティーの無個性化を促進しているのはパーティー編成の楽しみを奪うようで納得いかなかったのだし。
・難易度
こちらが「世界樹の迷宮」シリーズに慣れている事も見越している上で難易度設定をしているのか、今作は最初の方から敵の火力の高さとマップトラップの複雑さでプレイヤーに迫ってくるのは熟練者でもやる気を無くしかねないものだった。
敵の火力の高さは「世界樹の迷宮」シリーズの伝統だとしても、マップトラップの複雑さはさらに問題で、ぬかるみ（1マスで2マス分の歩数を歩かされる。FOEに追われてる時だと意外と致命的）・鉄格子（通過すると閉まる。最もハマる事はないので安心だがFOEが鉄格子が開いた瞬間追跡してくる事も）・オートマッピング不可地帯（オートマップが起動せず手書きで地図を描かなければならない。自分の位置のアイコンもFOEのアイコンも表示されないので厄介）などが敵の火力の高さと合わさり異様な難易度の高さに貢献しているため、時間の足りないプレイヤーにとっては迷宮の進めなさに心が折れるかもしれないだろう。

COMMENT

「世界樹の迷宮」シリーズは全てプレイ済み。
今作ではマンネリを打破するような新しい試みが多く見られた部分は評価できるが、その新しい試みが練りこみ不足だったり、難易度が異様に高くなっていたりと、初心者が入るには敷居が高くなり、熟練者でも心が折れそうになったりする所で評価は厳しくせざるを得ない。
現在プレイするとしたら、中古ソフト屋で購入したソフトのクリア済みのデータから引き継いで2周目を始めるか（強いキャラに戦ってもらって自分のキャラを「聞きかじりの成長」で育てる形で。ギルド名・船名共に思い入れがなければこちらの手段を）、ワイヤレス通信を利用して別のソフトから強力な武器防具を貰って少しでも楽に進めるか（DS本体を2体持っており、自分で一から始める方がいいならこちらを。特に攻撃力の高い武器や耐性の良い防具はできるだけ交換しておくとその分楽になる）などして、少しでも難易度の高さに対抗するといいかもしれない。