NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・ストーリー面
携帯機とは思えないほど、とにかくボリュームがある。１周目のプレイであればおそらく最低30時間、平均45時間はクリアまでにかかるんじゃないか、というほど。愉快なサブイベントも豊富で、全てをクリアしようとすればさらに10時間以上はかかると思われる。
キャラは主人公とヒロイン『以外』のメンバーが良い味を出している。前半はあんまり好感持てないようなキャラも、物語が進み態度が軟化していくにつれて、かえって良い印象を持てるようになった(逆に、当初と印象がそれほど変わらない主人公とヒロインの影が薄くなってしまっている原因でもあるのだが)。
あとフルボイスとまではいかないまでも、かなりの量の声が入っている。これらの音声はクリア後に自由に聞く事ができるようになるので、うっかり聞き飛ばしてしまっても安心。
ムービーは長さ自体はそれほどないものの、要所要所にしっかりと入っている。感覚的にはTOE以上、TOD2と同等ぐらい。

・システム面
戦闘はPS2版TODを踏襲した2D戦闘で、技を使うのに大きな制限がない爽快感のある戦闘。かといって難易度が低いというわけでは無く、使う技の属性や挙動を考えなけければ全滅も免れないシビアな部分もあるのでやり応えはある。また今回は援護攻撃もあるので、相手に有利な属性を持っていない場合でも有利にコンボを決めやすい点も高評価。
ダンジョンは前作イノセンスと違い、いろいろな謎解きを要するやり応え十分なものになった。その分頭を悩ませる必要があるが、いろいろ試みればヒントも出るし、解けないというほどでもないちょうど良いレベル。またダンジョンの構成自体もシンプルになり、迷いにくくなっている。
育成面ではソーマビルドやアクセサリ合成といった、とにかく素材集めが重要になるシステム。その時点では宝箱からしか手に入らないようなアイテムをどのキャラの育成に使うか、もしくはアクセサリを作るかと頭を悩ませるのはなかなか面白い。
その他、モンスター図鑑やコレクター図鑑、あらすじといった近年のシリーズにある要素は完備されており、特に「?が足りない」と感じる部分は少ない。

BAD/REQUEST

・ストーリー面
シリーズ恒例ではあるが、展開は急過ぎる感がある。特に最初、主人公が話の流れに微妙に合わない不自然な説明を何度も入れてくるあたりは辛かった(これはすぐマシになったが)。また(伏線らしきものはあるが)突然の新しい敵の出現や、それまでの目的があっさり覆されてしまうなど、引き伸ばし感があることも事実。
あと前述のとおり、主人公とヒロインの影が薄い。これは主人公は全体を通して印象が変わらず、ヒロインは心情の変化が作業的なためと思われる。
あと骨を折る、頭を砕こうとする等のややオーバー気味の残酷描写も目立つ。その割にそれをされた主人公側がピンピンしてるので、必要性があまり感じられなかったりもする。

・システム面
戦闘は戦術性はあるものの、技の性能に極端な差があるため、一部の強力な技を覚えてしまうとその技に依存しがちになる。そのため、勝つだけならコンボを考えるよりその技を連発する方が早いという事になってしまい、すこし底が浅くなってしまう。
ソーマビルドは特定の部分を優先的に伸ばす事は出来ても、最終的な育成の自由度が低くなってしまっているのがマイナス点。
また、今回のランダムダンジョンであるスピルメイズはサブイベントのたびに必ずと言っていいほどこなさなければならず、前作のギルドダンジョンほどではないものの冗長な感がある。

COMMENT

全体的には据え置き機のシリーズ作に匹敵すると思える作品。価格は高いものの、それだけの価値は十分にある。DSの最大容量ソフトであり、ときたま処理落ちするほど機能を十分に使いきっている分、DSテイルズオブシリーズの集大成と言えるが、逆に言うとDS作品でこれ以上は望めないのではないかという感もある。それだけに、次回作はどのようなアピールをしてくるのかに期待したい。