NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

このシリーズにおける魅力の一つであるシナリオは今作も良好。
終盤までひたすら複線を張り続けるのでモヤモヤは溜まるが、
先が気になってなかなかやめられない。
キャラクターも個性的で魅力あり。

音楽はかなり良く、SFCのRPG全盛期に見劣らないレベル。
特に戦闘の曲はシリーズで一番盛り上がる。
これがあったからテンポの悪い戦闘でも頑張れた。

グラフィックもDSにしては頑張っていると思う。
特に戦闘のモーションは良く動く。

戦闘に関しては、テンポはともかくシステムそのものは決して悪くない。
ボタン連打の作業に近かった過去作よりも戦略性が大幅に増している。
特にエーテルの要素は秀逸。
安易に魔法を連発できなくなったことでアイテムに利用価値が出るし、
相手の反動ダメージを狙うなど駆け引きの面白さも出ている。
敵味方ともに攻撃力が高めで、先手必勝の緊張感があるのも良い感じ。
MPをガンガン使って、積極的にオーバーキル→MP回復を狙っていく。
戦力を節約しながら複数の戦闘を耐え抜くドラクエ型ではなく、
1回の戦闘に全力を注ぐロマサガ型に近い。

旧作ファンに対する配慮も感じられる。
3や4のテーマはもちろん、1や2の要素もちらほらと。
ラビソマタミスなど、初代の敵キャラ登場にニヤリ。

BAD/REQUEST

タッチで魔法強化という発想がまず古い。
大して面白くもないミニゲームで戦闘のテンポを阻害してどうする。
選択でタッチ無しを選べるといっても、
それを選ぶのにタッチが必要という恐るべき馬鹿馬鹿しさ。
とりあえずタッチペン取り入れました、みたいなソフトは、
DS発売後せいぜい1年でどこのメーカーも卒業している。

タッチ要素を抜きにしても戦闘のテンポは相当に悪い。
わざと嫌がらせしてるのか？と言いたくなる冗長なエフェクト。
エフェクトだけでなく、数字の表示などいちいちもっさりしている。
今時、全体魔法で一人ずつダメージ表示はないだろう。
ファミコンのFF2(イエローソウル先制攻撃の悪夢)じゃあるまいし。
下画面にログを残すなら尚更、上画面はサクサク展開させるべき。

ノアルーン(ドラクエで言うルーラ)がなく、ひたすら先へ先へと進まされる。
前の街に戻って装備を整えたり、横道のイベントを楽しんだり、
乗り物を入手して行動範囲が一気に広がる感覚を味わったりできない。
街とダンジョンのセットを小分けに配置して強制イベントでつないだだけ。
この方が台詞やフラグが簡略化されるので、作り手としては楽なのだろう。
しかしこの仕様では拠点がないので、似たような街がいくつも必要となる。
結果、プレイヤーはガワだけ変えた店と民家の巡回を何度も強いられる。

経験値のインフレが凄まじいのもちょっと気になる。
ザコ戦で得られる経験値は、序盤は50くらいで、終盤は軽く10万を超える。
次のエリアに行くと急激に獲得経験値が増えるので、経験値稼ぎを楽しめない。
多くのプレイヤーがほぼ一定のレベルに調整されることで
緊迫したボス戦を楽しめるというメリットもあるにはあるが、
バランス調整の手段としては強引極まりない。

3や4で好評だった日記はなぜ廃止されたのか。
小さな容量で大きく感情移入できる一石二鳥のシステムだったのだが。
久しぶりにゲームをプレイした人には次のイベントへの指針にもなった。

その他細かい不満点は多い
・公式絵と顔が違うアニメ
・まるで威厳が感じられないヘタクソなゼウスの一枚絵
・チュートリアルがくどい(しかもタッチ強制)
・竪琴演奏など製作者の遊び心溢れるサブイベントがなくなった
・船に乗る度に強制戦闘連発イベント発生でうんざり
・携帯機なのにセーブできない状態が長く続くことがある
・家のドアがやたら開けにくい
・家から出ると視点が変わって変な方向を向いている
・誰もいない家やテントが無駄に多い
・宿屋がある街にMP回復ポイントがいくつもある意味が分からない
・宿屋に泊まると一人ずつHPMPごとにピロリロリン♪×10回
・200種までしかアイテムを持てず、預かり所もない

COMMENT

まさか出るとは思わなかったヘラクレスの新作。
誰でもすぐに分かるような欠陥をどうして放置したまま発売したのか、
メーカーの手抜きに対する怒りはあるが、短所を補うだけの魅力はある。
ユーザーインタフェースなど快適さに対する配慮では優れていたのに、
シナリオやキャラクターに魅力が無かったソーマブリンガーと全く逆。
任天堂の外注RPGはどうしていつも一長一短なのか…。

旧作もRPGの基本部分は至って平凡だったので、
戦闘がダルかった3を楽しめた人なら今作も大丈夫だろう。