NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・死亡フラグを折る、というオリジナリティ。
　砂漠化が進み、遠からず滅亡が訪れる世界。
　正しい歴史を作る事で世界を救え、というゲームシステムとストーリーの相互作用はすばらしいの一言。所謂、時間移動、歴史改変ものなのだが、ゲームという媒体に投じることで、プレイヤーの判断が歴史を変えるという面白みがある。

・全体的な細やかさ。
　システムの性質上、時間移動を頻繁に行う為、前に見たイベントを見る事になる。
　これをカットするための機能がついているのは、正直ありがたかった。
　サブイベントの豊富さも、このゲームならば好印象。普通なら時間制限のあるイベントでも、時間移動が可能なので、実質、制限がないまま楽しめる。時間移動を前提にしたイベントの多さは多少煩わしいが、雰囲気作りもあるし、許容範囲だろう。
　さらに、イベントの流れや進行度なども分かりやすくなっており、時間移動で迷う事がない。
　物珍しいシステムを投入する、というだけでなく、プレイヤーへの配慮がしっかりと行われている。

・音楽・グラフィック
　どちらかというと環境音楽だが、盛り上げるところで盛り上げ、しんみりさせるところではしんみりさせる。グラフィックはＤＳなら十分以上。主人公の顔グラフィックが、ステータス画面では多少潰れているが、これは些細なことだろう。それ以外では問題はない。

・インターフェース
　一部を除き、インターフェースは見事なもの。情報が分かりやすく、かつ操作がしやすい。

BAD/REQUEST

・ストーリー
　個人的な事になるのだが、歴史改変ものでありながら、本筋のシナリオが二つしかなく、他のパラレルはあっさりしたもの。文章だけで終らせられるものも多々ある。高望みかもしれないが、もっと力を入れて欲しかった。
　また、シナリオの内容自体も、よい評価が与えられるものではない。
　時間移動、世界移動を駆使してはいるのだが、正直なところ目を見開くようなところは少なく、王道というよりは陳腐の部類。
　戦争や国家間の外交をバックボーンにしながら、台詞回しが甘く、重厚さに欠けている。よくある勧善懲悪のライトファンタジーであり、歴史物、群像劇的な面白みは（他のキャラに多々イベントを割いているにも関わらず）薄いといわざるを得ない。
　この原因は、味方サイドの行動に突っ込みどころが多い、という事以上に、敵にカリスマがない為だろう。味方は善玉扱いに終始し、敵は悪党ならではの魅力がない。王道を行くにしても、もう一ひねり加えてよかった。
　特に、このゲームの敵キャラクターは、総じて小悪党のオンパレード。せめてラスボスぐらいは予想外の人物にしてほしかったし、思想的にも今までと同レベルの小物というのはやめてほしかったのだが。

・戦闘のテンポ。
　全体的に流れを早くしよう、テンポをよくしようと努力している。
　実際に、ほとんどの部分でストレスは感じない。
　だが、敵がスキルを使うたびに、その早いテンポがプツッと途切れるのはどうにかならないだろうか。些細な事なのだが、気になった。

・主人公の足音
　重箱の隅をつつくようだが、ガションガション言うのは何とかならなかったのだろうかｗ

COMMENT

シナリオが惜しいゲーム。
アイデアは面白いのだが、シナリオが終始ライトファンタジー的だったために、お互いの長所を殺している感がある。
ライトファンタジーにも面白いものは沢山あるのだが、このゲームに限ってはマイナスだろう。
王道をやるにしても、もっと練りこんで欲しかった。

ゲームシステム的には問題はない。３×３マスの敵を吹き飛ばし、重ねて、多重攻撃を仕掛ける、というのもインターフェースがきっちりしており、なかなか楽しめる。欠点は、目新しさに欠ける、という点のみか。また、難易度は低め。

優良なゲームではあるが、シナリオやシステムをもう一段階グレードアップできていれば、名作になっていただろう。そういう意味では惜しいゲーム。