NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・圧倒的な世界観の作りこみ【オリジナリティ評価点】
とにかく、量・質共に世界観の練り込みが半端ではないです。
スタッフに作品への愛があるからこそ、と言える程ゲームの中では確認できない点まで細かく設定されています。
長期連載のアニメやマンガに匹敵するか、それ以上のボリュームを持った世界観でしょう。
他のゲームでは類を見ない、所謂「ケモノ」キャラクターが大きなウェイトを占めているのも非常にユニークな所かと。

・とにかく操作のレスポンスが良い（ただし一部を除く）
基本的な移動や戦闘時のアクション、メニューなどの操作レスポンスは全体的に良く練られており、プレイヤーの視点でのデザインがなされていると思います。
文字送りやマップ移動などもストレスが全く無いのはかなり優秀かと。
ただし一部の操作形態に疑問があるので、そこはBAD/Requestの方に。

・王道だがしっかり練られたストーリー
このゲームは２章に分けてストーリーが進行しますが、１章・２章共にどこかで見たようなストーリーではあります。
とは言え何かのパクリと言える程オリジナリティの無いものではなく、アクションのテンポの良さも相まってプレイヤーを引き込んでくれるストーリーです。
わかりやすいストーリーですが、２章に入ってからはハッとさせられる題材を扱っていたりするので、大人向けとしても十分オススメできる内容だと思います。

・美しいグラフィック
売りであるパ?スマップ、大きなキャラクターがグリグリと動くイベント時のグラフィックなどは、ＤＳ作品としては最高レベルの出来だと思います。
通常のフィールドも中々良く出来ているかと。
アニメは数こそ少ないものの、これも良く出来ていると思います。

・テンポの良いゲーム構成
１章が１０話に分かれており、だいたい３０分強あれば十分に終わるぐらいの長さです。
これまたテンポの良いストーリーに、うっかり忘れをしても充実のガイド、要のアクションも分かりやすいためにサクサクと進みます。
ゆっくりプレイするつもりが、気が付くと一気に５話分進めていたりもしました。
ただ、裏返しの不満点もあるのでそれはBAD/Requestの方に。

BAD/REQUEST

・何故ＤＳで出したのか
主に狙った年齢層や開発コストの問題からＤＳでリリースしたのでしょうが、これが一番の残念な点です。
まずＤＳならではのタッチパネル・２画面がシステム的に全く活かせていない点。
そして操作感・練りこまれた設定・作りこまれたグラフィック、これらのこの作品の最大のポイントとも言える点が、ＤＳのハード的な制約の為に活かしきれていないのが勿体無い。
折角のグラフィックや魅力的な登場人物が、ＤＳの解像度の所為で潰れていたりするのが非常にプレイしていてもどかしかったです。
ストーリー２章の終盤がやや駆け足気味な点や、ボイスの種類が少ないなど、容量的にもＤＳのカートリッジ式では明らかに不足していると思われます。
恐らくスタッフも泣く泣く削った要素があったのでは、と想像してしまいます。

・グラフィックの微妙な違和感
２.５Ｄと３Ｄのマップが混在しているので、マップの繋がりによっては違和感を覚えることが度々ありました。
また、主人公であるレッド以外の登場人物は基本的に２Ｄグラフィックのため、街中での移動中は妙に主人公が周囲から浮いているという悲しい状況に……
往年のグランディアのように、登場人物全てをいっそドット絵にしてくれた方が良かったような気がします。

・操作形態に一部問題がある
まず他の方もレビューに上げていますが、ジャンプとダッシュが同じボタンなのが大きな問題。
戦闘中に焦って二度押しになり、ダッシュを暴発して敵に特攻みたいな事が何度かありました。
もう一つはアクションに占める連打の割合が高すぎる点。
何をするにも基本的に連打が必要になり、電車の中でプレイしたりしているととても恥ずかしいです。
アクションが苦手な人でもとっつきやすいシステムではありますが、もう少しひねりがあっても良かった気がします。

・キャラクターボイスが勿体無い
キャラクターとフランス語をベースとしたボイスの組み合わせに違和感は全くありません。
でも余りにも台詞の種類が少なすぎる……
主要・モブ問わず、一部のイベントを除いて１?数種類の汎用性のある掛け声的な物しかボイスが用意されていません。
最初は良かったのですが、中盤以降はだんだんと同じボイスの使いまわしに飽きてきました。
声優の質も非常に高いので、是非ともフルボイスでプレイしてみたいものです。

・ゲーム本編の難易度
良い点としてサクサク進む事を上げましたが、その理由の一つに「難易度が低い」ということがあります。
子供向けとしては良いのでしょうが、アクションが苦手だと自負する自分でも１章の終盤までノーダメージがザラなのはどうかと思います。
敵を強く・硬くしたり攻撃頻度を上げたりするなどした難易度調整をできるようにしても良かったのでは、と思います。
一応２周目以降は難易度が上がりますが、それでも元が優しいのでそれ程難しくなったように思えませんでした。
あとレッドのスタンガンが何の役にも立ってない気がします。

・エアロボグランプリの難易度
慣れてしまえばどうにでもなるのですが、ハッキリ言ってこのゲームで一番難しいのはこのミニゲームだと思います。
とにかくコーナリング時の反応がモッサリとしているので、ある程度コツを掴まないと激突しまくってレースどころではありません。
クイックターン時の気体の傾きが実際の切れ角と大きく異なる点にも違和感が。
そして難易度が高い割に勝利時の報酬が安い事が、繰り返しプレイする意欲を削ぎます。
恐らくデュエルシップで資金稼ぎをする人が大半だったのではないでしょうか。

COMMENT

正式発表の数年前の、ＣＣ２公式サイトに仮設ページが現れてからずっと待ち望んでいましたが、数年間待った甲斐は十二分にあった作品でした。
レビューはＢＡＤの方が多くなってしまいましたが、全体的に非常に良く出来た作品ゆえに本当に勿体無いと思います。
今のゲームにありがちな「複雑・マニアック」な点で生み出すゲーム性ではなく、ゲーム聡明期の名作のような「ゲームとしての根本的な完成度」からくるゲーム性は近年稀に見るレベルだと思われます。

あと唯一の３点評価の音楽ですが、ゲームの雰囲気を壊すような物ではなく全体的にクオリティも高いです。
ただ残念なのが、ＤＳ特有の「薄い音」の為に印象に残るものが無かった点かと思います。

製作スタッフの作品への愛やゲームへの哲学などが窺い知れる作品なので、是非とも手に取ってみて欲しいです。
買って損する事は無いと断言したい作品です。

そして、是非ともこの圧倒的な世界観を活かしての次回作が出ることを期待しています。