NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・本作はPS専用ソフト「テイルコンチェルト」の世界観を踏襲したゲームとなっており、テイル?のキャラクターも約10年ぶりに作中に登場し、ファンをニヤリとさせます。

・本作の最大の特徴である、ネコやイヌをモチーフにした人型キャラでいわゆる「ケモノ」系キャラクターが登場キャラクターのほぼすべてを占めています。
日本アニメ「名探偵ホームズ」や「モンタナ・ジョーンズ」のような感じが想像に易しいでしょう。
私自身、上記アニメを見て育った世代なので、優しいタッチで描かれる可愛らしいキャラクターと、作りこまれた世界観設定は親しみやすく、とても懐かしい感覚を思い出しました。

・ゲーム進行は1話完結のシナリオで全2部構成、分岐なしの一本道です。シナリオの合間に任意でギルドからのミッションをこなし、お金を貯めて自機の強化パーツ等を買う。という感じです。
ストーリーは1部は王道の勧善懲悪なボーイミーツガール的なシナリオとなっており昔懐かしのアニメのような展開です。2部では打って変わってかなりシリアスで、SF的な展開となっており、主人公や世界の起源に関して踏み込んだ話になってきます。
こういったアニメ調のシナリオ進行はRPGでは新鮮ため(少なくとも私は初めて)、出来のよいアニメを見ているような感覚でテンポ良くプレイできました。

・アクションパートは、「ロボとヒトのダブルアクション」となっており、ロボを乗り降りしてダンジョンの仕掛けを解いたり、戦闘ではロボに乗り敵と戦います。
戦闘に関しては「相手を掴んで、投げる。」の動作が基本となっており、序盤は近づいてAボタン連打でもいけますがゲームが進んでいくにつれ後ろに回り込んだり、相手のスキを狙ったりしないといけないため、ある程度相手に合わせて戦術を考える必要がでてきます。
普段アクションゲームはしない私は難易度はコレくらいがちょうど良いように感じました。

・グラフィックに関しては、町並みやダンジョンなどに奥行きを持たせ表現する「パースマップ」や、イラストをアニメのように滑らかに動かす「モーションイラストデモ」など、面白い技術を導入しており、ゲームの雰囲気作りにかなり効果的に作用しています。またキャラクターのイラストも表情がコロコロと変わるため愛着がわき、見ていて飽きませんね。
数々の町やダンジョンが登場しますがどこの町も個性豊かで、背景などは常に飛行船や鳥が忙しく動き回っており、特徴的な「浮遊大陸」という世界観を匂わせる演出も○です。
またOPアニメーションも物語進行と同期して変わるのも良かったです。アニメーションの質もDSでは勿体無いくらいの高クオリティーです。

・快適さに関しては、時間を置いたプレイにも対応する「思い出す」コマンドや、短く簡素にまとめてあるチュートリアルなど、とにかく全編手が行き届いており、プレイ中に操作が分からなくてイライラしたことは一度もありませんでした。

・あと、細かいところですがミニゲームのレースゲーム「エアロボグランプリ」や「巨大戦艦釣り」、自由に空を飛べる「フライヤーモード」等、どれも個性的でとても良く作りこまれており、操作にコツは入りますが慣れると時間を忘れてプレイしてしまいます。
音楽も劇伴曲だけでも60曲以上収録されており、どれも雰囲気に合ったものが使用されています。

BAD/REQUEST

私はこのゲームが好きですが、好きが故に「もっとこうしたら」という思いがありますね。

・全体的にキャラクターの掘り下げが甘いんじゃないかな、と。
例えば主人公に関してですがとても熱く、好感が持てるキャラクターですが、「個性」があまりないなと思いました。例えば個性を持たせるためには、主人公の好物や趣味に関しての話や、ハンターという仕事をしているわけですから当然ハンター仲間などとの交流なんかあるはずですが、そういったエピソードが一切無く、良くも悪くも欠点の無い「アクのない」キャラクターだったなと思いました。
まぁ、これらの事は後々のDLクエストで解消されるかも知れません。

・また、1000点以上の設定資料が?など謳っておりますが、本編に登場するのはほんの一部で、「100パターンCM」で登場したトイレや温泉、病気、乗り物、食べ物に関する本編での描写はほとんどありませんでした。DSの容量で上記のような膨大な設定をすべて盛り込むのは無理な話なのですが、それでもCMで登場したものくらいはある程度出して欲しかったですね。これもまた今後のDLクエストでの補完を期待したいですね。

・戦闘に関しては、第2部からは自機を状況に合わせスタイル変化させることが出来るので各モードで必殺技や能力が変わってくるので戦闘も変化が加わってきますが、言い換えれば第1部の戦闘がやや単調に感じる部分もありました。

・あとオプションでサウンド調整が欲しかったですね。主人公の駆るロボの歩行音のSEが若干うるさく感じたので、自分でボリュームを設定できるようにしたかったです。
また、私は特に気にならなかったのですが、キャラクターのボイスが一部場面で掛け声程度入っているだけなため、「中途半端に声入れるくらいなら、ボイス有・無の選択がオプションで欲しかった」といった意見も聞きました。また、ソフトリセット機能も地味に欲しかったです。

先ほどのミニゲームに関しても、GOODで書いたモノは良いのですが、他のミニゲームはどうにもやりこみ要素が足りない気がします。ダムドとクレープのレースにしても、荷物運び大会にしても、早いタイムで終わったのならそれだけボーナスをもらえるようにして欲しかったですね。努力に見合った対価がお金として帰ってきていない気がして、そのミッションの2度目、3度目をやる気が出ません。

COMMENT

コレクターズエディションを購入。プレイハードはDSiLLです。1週目のクリア時間はすごくゆっくりやったので35時間でした。
コレクターズエディションの内容も充実しており、特に設定資料集などは100P以上のボリュームとなっています。公式HP等を見て本作を気に入った方はCE版をオススメしたいですね。

子供から大人まで、幅広い年齢のプレイヤーにプレイして欲しいというのが開発者側の狙いなので、そういった狙いからも、難易度は簡単に設定されています。歯ごたえのあるアクションを求める人にはあまり向かないというのが正直な感想です。

しかし、
・前作「テイルコンチェルト」が好きだった。
・ケモノキャラが好きだ。
・作りこまれた世界観設定、SFが好きだ。
・王道のファンタジーRPGが好きだ。
上記で1つでも当てはまるならプレイしてみても良いと思います。

総じて、ここまで丁寧にプレイヤーのことを考え、作りこまれたゲームというのも、なかなか出会えません。
「構想10年、製作3年」の謳い文句や100パターンCM等、ひとえに並々ならぬ『愛』を感じます。開発者側はきっと楽しんで作ったんだろうなという雰囲気が伝わってきますね。
久々に熱中した紛れも無い『良作』ゲームでした！！

余談ですが、制作会社CC2のHPではなにやら続編のような感じを匂わせるサイトも出来ているので、近々動きがありそうで期待してます。