NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・グラフィック
くどくなく浅くない適度なグラフィック。画像はモンスター、アイテム、敵専用アイテムの3種類。解説テキストもついていて楽しめる。一部PSP版から追加されたキャラクターはアニメ調になっていて残念だったがそこまで安っぽい印象はない。

・BGM
BGMが良いとされている世界樹の迷宮と比較するとその差は歴然。DSであるにもかかわらずクオリティーが高く耳に残る曲が多かった。数は決して多いとは言えないがどれも洗練されたものばかり。戦闘のBGMだけでも実に5曲を見事に使い分けている。PSPから追加された通常戦闘曲には少し感動した。いきなり雑魚戦の音楽が変わるなんて予想もしていなかった。見事なサプライズ。

・種族の差別化
職業に関係なくドラゴニュートは使用回数無制限のブレスで敵一列を攻撃できるようになる(ダメージはＨＰ依存で使用毎にダメージが半減)デビリッシュは呪われた装備を呪われずに装備することができるが神聖な装備を一切装備できない。ワービーストの攻撃は毒の追加効果がある等。エルフやフェアリーなど特定された種族でしか装備できないアイテムも存在する。

・ハイマスター能力
どの職業にも用意されていて一定のレベルになることで個々の能力を開花させる。例えば戦士ならば物理攻撃力が上がり、僧侶なら呪文の効果がアップしディスペル(アンデッドモンスター消滅)が全体にかかり、さらに経験値が手に入る等。中でもレンジャーは凶悪でターン終了時に状態異常の敵がいると自動で攻撃する追撃を使えるようになる。ハイマスター能力は敵モンスターも所持しているので相手のパーティー構成で倒す順番を考える必要がある。

・召喚師がとても使いやすくなっている。
従来のシリーズではダンジョンの中にある魔法陣であらかじめ決められたモンスターと契約しお金を払って召喚するというシステムだったが今作品では敵として出てくるモンスターに召喚魔法を使って自由に仲間にすることができる。例えば攻撃力が欲しければ戦士系を、盗賊がいなければ盗賊系を仲間にすることでパーティー補強も簡単にできる。(ただし盗賊特有のハイマスタースキルである盗む、装備解除、扉の解錠はできない)さらに上記のハイマスター能力ではキャラクターのレベルが上がると召喚モンスターのHPや能力が上がるという優れもの。後半のボスクラスのモンスターは攻撃力が高いのでこれの恩恵を受けるモンスターは少なくない。

・結婚システムの導入
召喚契約したモンスターと結婚し子供という形で親モンスターの特性を受け継いだキャラクターを作ることができるシステム。武器防具破壊や状態異常付加・防御などが受け継がれる。

・蘇生魔法を戦闘中に使える
後半のボスは行動回数の多さや攻撃力に加えポンポン首を飛ばしてくるので地味にありがたかった。

・スペルキャスティング
呪文の名称を自由に変更できる。さらに敵モンスターの呪文に反映するかどうかも選べる。
呪文の効果は戦闘中でも呪文選択画面で解説が出ているので完全に趣味の世界。

・操作性(街と施設、探索時、戦闘時)
キーの割り当てが上手く操作に無駄がない。訓練所、酒場、ショップ、郊外、ダンジョン等直感的にすぐ移動できるのでストレスを感じない。施設の項目や利用も無駄なところがない。むしろ宿屋で全員で宿泊できたり、シンプルで便利にはなっているが邪魔な要素は一切ない。
探索時は従来のシリーズ同様上が前進、左右で方向転換、下で振り向き。(後退へ変更可能)さらに移動アニメーションオフにするとサクサク進む。カニ歩きにも対応。(正面を向いたまま左右に移動)何より押しっぱなしで移動を続けてくれるのでとても便利。
戦闘時はRボタンのコマンドリピートにLボタンの行動順設定、Yボタンで全員通常攻撃と至れり尽くせり。特にYボタンは一度押せば自動で最後までメッセージを送ってくれるので便利の一言。これにより他のゲームのようにAボタンを連打若しくは押しっぱなしにしなくても戦闘が終わる快適さが味わえる。戦闘アニメーションをオフに切り替えることもできるので鬼に金棒。敵や戦闘の新鮮さが薄れてきた時に重宝する。それに1回の戦闘時間を短くできるのは嬉しい限り。
攻撃を受けたときの声のオンオフに加え操作音(攻撃の音や扉を開けた時の音、カーソル音)を消してプレイすることもできるのでBGMを聴きながらプレイしたい人にオススメ。


これらは長く遊ぶ、繰り返し戦うという一口に言ってしまうと作業することを前提に意識して作られていてその上でなるべくストレスにならないように、無駄なく、模様替え的な感覚での気分転換にあるいは戦闘をスピーディー且つ円滑に進めるために、そしてプレイヤーの個性や環境に合うように自身でカスタマイズし快適にプレイできるように熟慮に熟慮を重ねた結果だと感じました。他の探索型RPGゲームと比較しても戦闘エフェクトがカットできて、コマンドリピート、カーソル位置記憶、ボタンひとつで戦闘が終わる等遊ぶ快適さにここまで特化したゲームはありません。

BAD/REQUEST

・結婚システム
イマイチ練り込み不足に感じた。強いキャラクターを作ることは共感できるができることがあまりに少ない。大半が種族の初期ステータスを下回ったりと残念な結果が多い。敵専用スキルとまでは行かないが、仲間になるNPCのように一部スキルの継承があっても良かったと思う。発展途上な感じが否めないシステムだった。

・会話
テキストのチープさが目立つ。前作と比べると渋い演出がなく、必要以上に下品な口調が多い。

COMMENT

DSシリーズの探索系ゲームの中ではトップクラスの完成度と遊びやすさ。これまでのウィザードリィシリーズと比較すると相手からアイテムを盗んだり、アイテムを錬金術で強化したり、召喚でモンスターを仲間にしたりと明らかにウィザードリィではないのにどこかそれらしい雰囲気を帯びている。遊べば遊ぶほどゲームとしての面白さとシステム面がよくできているゲームだなと感心させられる。特にグラフィックに関しては今時こんなにシリアスなグラフィックのゲームがいくつあるんだろうと思う。システムについてもよく熟慮されていてテキストがなくても楽しめるほどグラフィックとBGM、システムが非常に高いレベルでまとめられている作品だと思った。「世界樹の迷宮」やPSPの「剣と魔法と学園モノ」などとは比べものにならない。移植とはいえ、こんなに完成度が高いと思った作品は他にない。ただ知名度の低さが難点。