NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

　全体的なボリュームは圧巻の一言。メインシナリオに届まらず、追加ストーリーのみでも、物語全体を追うのであれば70時間以上を要する仕様となっているのは良かった。ライトゲーマー層を意識して、メインのみで約40時間弱のボリュームに仕上がっているのは、携帯性を考慮すると賢い判断だと言え、手軽に「ドラクエ」の、特に“ナンバリング”が楽しめるというのは好印象だった。
　敵の強さも程々で、サクサクと倒していけるのは魅力。物語をとりあえず一瞥しておける位の難易度なのが、やはり携帯性を考慮するとなかなかに良い仕様となっていると思われる。クリア後にじっくり遊べる仕様にすることにより、宝の地図の攻略や、やり込み要素の消化に集中できるように作られているのは、従来とはひと味違ったシステムを構築しようと試みている面から言って、ある程度正解であったと見れる。敵の出現数も、やはり「手軽さ」について注視をすれば、最大5体というのは、戦闘のスリム化という意味においては、上手く調節がなされていたと言えるだろう。
　グラフィックはDSならではと言えるレベルで、評価できる点としては、例えば装備品によりキャラグラフィックが変わるというのが最大の長所であると言える。キャラメイクをして、自分だけの仲間を作ることができるのは、なかなかに面白いと思えた。
　音楽は、従来通りの「ドラクエ」というスタイルを崩していないため、世界観を堪能するには、非常に良い働きをしてくれている。

BAD/REQUEST

　全体を通して、ボリュームが感じられるソフトであると共に、中途半端感が否めないような作りとなっているのが残念であった。
　まず、やり込み面。所謂「おまけ要素」であるが、存在意義が無いといえば「無い」と言わざるを得ないのが一番残念なところ。達成しても、そこには何か一つの、「明確な目的」が存在する訳ではないので、一度やり込む意義を見失うと、単なる「自己満足」に収束してしまい、途端に半端な要素となってしまう。「宝の地図」も然りで、あくまでも“おまけ”なため、その立場を考えると、やはり気力が持続しないことには、単なるプレイ時間稼ぎにしかならず、非常に難があり、作り込みが甘いと思われる。やり込み要素を、あくまでも「メイン要素」として売り出すならば、「クエスト」にも「宝の地図」にも、何らかの大きな一本の「ストーリー」が欲しいところ。せっかく膨大な容量があるのだから、明確な「物語性」が欲しかった。
　また、嫌に運任せな理不尽な要素があるのも難なところで、例えば戦闘であれば「レアアイテムゲット」の確率の極端な低さと言えば、ヘビーユーザーを対象にするにしても、あまりにも面倒で、やる気は起きない。やはり、「自己満足」に終始してしまうところなので、その点でライトに向けてもヘビーに向けても、やはり中途半端と指摘せざるを得ないのは問題がある。
　そして、幾らライトを対象にするにしても、あまりにも地上の敵が弱すぎる。“ライト”であっても、プレイする内に慣れてくるので、そこで手応えのある戦闘がないと、やはり持続力は薄くなる。難関と言えるような難関がメインシナリオではないので、ボスらしいボスを「宝の地図」ないし「追加ストーリー」に持ってくるのではなく、そんなことができるなら、メインの方である程度やり応えのあるような敵が欲しい。
　やり込みの戦闘には、本当の「やり応え」があるのに、あまりにもったいない。特技に、「MP0」があるのは最大の難点。容量と関係のない戦闘の難易度の面にこそ、しっかりとした調節が欲しい。
「GOOD」に書いた敵の出現数も、やはり8体は欲しいところ。スライムと戦闘すると、最低でも10体は格納できた事実が分かる。

COMMENT

　今回の作品は、“大作感”というスタイルを捨てて、「手軽さ」という方面を目指したという点で、評価の出来る作品。
　メインシナリオに限って言えば、難易度は低いので、ドラクエシリーズを敬遠していたというユーザーは、「入門用」として是非一度購入してみる価値はあると言える。
　但し、クリア以後のやり込み面に関しては、敵の強さも翻したように増したりするため、やり応えのある難易度のプレイも期待は出来る。
　プレイスタイルにより人を選ぶ作品なので、長大なストーリーをこなしながら、休憩程度にやり込みを楽しむプレイヤーには味気ないソフトとなるが、細部まで遊び尽くしたいというプレイヤーには大手を振って勧められるソフトである。
　新規プレイヤーには、初めてのドラクエとしては、お勧めできる作品である。