NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・キャラメイクと着せ替えができるところ。ひとりよがりと判っていても、「自分だけのパーティ」みたいな装備を追求したくなります。

・フィールド画面上で戦う敵を選べる。イヤな相手は回避。お供が強かったりもしますが…。

・都市圏限定かもしれませんが、すれ違い通信。気軽に参加できる。凝った台詞を用意してる人もいて、思わず顔がほころびます。

BAD/REQUEST

細かい部分は他の人が書いておられるので、自分は奇天烈妖精・サンディについて。

サンディはひどい、という意見をよく聞きます。なぜ批判されるのか？　実際に本編クリアまでプレイしてみて、その理由がつかめた気がしました。外見と口調がクローズアップされがちですが、どうもそれだけじゃない。内面の描写が非常に拙いと思います。キャラの設定とグラだけ決めて、あとは放置されているような…。

一例を挙げますと、旅の途中で研究に没頭している青年と出会います。彼は自分の関心が向くことだけに突進していき、周囲が見えていませんでした。そのせいで大切なものを失い、とても後悔することになります。その後、町の住人たちと交流し、自分の外にも世界があるのだと気づいて人間的に成長するのでした。

ところが、このイベントを見守っていたサンディはまったく変化しません。若い女性が亡くなったというのに、一切へこみません。「お礼をもらおう」・「（お礼がショボいので）むくわれない」・「多くの人間を幸せにした、さあ先を急ごう」という（私の感覚では）凄まじいとしかいいようのない台詞のオンパレード。上記の青年と比べて、あまりにもちぐはぐなこの態度。なぜ、ここまで不変不動の心を持つキャラクターにしたのでしょう…。

サンディは現代風の姿としゃべり方をする妖精、と捉えられることが多いと思います。ですが、もし現代に生きる女性であれば、もっと揺らいでいるのではないでしょうか。人の死に衝撃を受けたり、自分の仕事（サンディの場合、天の箱舟の運行）のことは真剣になってちゃんとやり遂げる、とか。この妖精の場合そういうシーンが全然出てこない。スウィッチ・オンヌって何ですか。せめて一緒に旅した主人公を救うために、命を賭けた行動をとってくれる…とかあれば嬉しかったんですが、空から墜落中の主人公を見て「知?らないっと」と言って画面外に飛んで消えてしまいます。そんな、ひどい…。

とにかく擁護するのがむずかしい、そんな妖精でした。本編最後に別れても（ほぼ必須のイベントをこなせば）驚くほどあっさりと再会する為、ゲームを続ける限りずっと「せんれき」画面で顔を見ることになります。そんなキャラなのに、ここまで長所をみつけにくいというのもすごい。

もちろん、プレイヤーによっては「ウザかわいい」とか「台詞の珍妙さが面白い」と評価される方もおられるでしょう。製作者もそういう意図で作ったのかもしれません。ですが、それは珍獣を見る目のような。私はそういうキャラクターを貶めて笑いをとるのはどうかと思う（言い過ぎかもですが）。もし彼女がチョイ役なら受け入れられたし、ドラクエでなければ「変なナビがついてまわるRPG」としてプラスにレビューした可能性があります。でも、ドラクエ最新作で登場した「サンディ」は、はっきりとマイナス要因です。変なキワモノを売りにするシリーズじゃないでしょう。誰にでも受け入れられる内容を備えた、日本を代表するRPG（だったはず）では無いのかと。

COMMENT

長くなるのでくわしく書きませんでしたが、本編中のムービー（と、それに付随する諸々）も個人的にがっくりした箇所でした。「美麗」とか「ＤＳにしてはすごい」という意見もありますが、ノイズが出まくりな上にオープニングのあれは事前の発表でさんざん見ていたし、アニメシーンに主人公を登場させるために本編のゲーム進行をテンポの悪いものにする（強制ソロ・強制装備）など無茶苦茶やるなあ、と思いました。そこまでして出した主人公、戦いを見てるだけだったし…。

ムービーの件もサンディにしても、どうも製作者サイドは「これで最上のものだ！」って確信を持って作ってなさそうな印象でした。なんとなく、思いつき、でゲーム本編に入れておいて、その結果ちぐはぐになってもボツにせず放っておいたような感じ。なんだかんだ言いつつ長時間プレイしていますが、よく考えたらそれはすれちがい通信に持っていく地図の為だったりします。話題性はあるし枝葉の部分で楽しめるけど、目に余る欠点が邪魔をしてゲームそのものは深く愛せずじまい。そんなモヤモヤとしたソフトでした。