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GOOD!

【システム・操作性】
冒頭陳述や冒頭弁論などを聞いた後、証人や被告に対して裁判員が質疑応答を行う「裁判パート」と、裁判員と裁判官による「評議パート」のバランスが抜群。
裁判員は当然ながら現場には行きませんが、だからこそ、ミセスマーブルのごとき安楽椅子探偵のような推理ゲームを楽しむことができます。
また裁判パートでは、証人陳述の前後、裁判員が裁判官に疑問を投げかける形式で、裁判員制度に関する豆知識を教えてくれるので、裁判員制度に関して疑問だったこと、疑問にすら思っていなかったことが分かりやすく知識として入ってきます。
あと、小さいことではありますが、タッチペン使用の指示があっても、ボタン操作で先に進めることができるのは、作り手の親切さを感じることができました。
決してオリジナリティのあるシステムではありませんが、だからこそ極端なストレスを感じることなく、ゲームを楽しむことができる作りとなっています。

【ゲーム性】
このゲームを「アドベンチャー」として捉えるか「学習ソフト」として捉えるかでゲーム性の評価は変わってくると思います。
僕は、学習ソフトとして捉えていたのですが、そう考えた場合、このソフトの出来は100点です。
もともと裁判員制度そのものが、ゲームと親和性が高かったのかもしれませんが、裁判員制度のことを学習しつつ、アドベンチャーゲームとしてもここまで楽しませてくれる作りは、見事の一言でしょう。
楽しみながら裁判員制度のことを勉強したいのであれば、このソフトはかなりオススメだと思います。

【物語・キャラクター】
裁判員として登場するキャラクターは、ギャル系や小心者、ガサツそうなフリーターに頑固オヤジ、そしてインテリそうな女性、正義感の強そうな女子大生などなど、本当に様々。
それゆえ、法廷パートや評議パートで繰り広げられる発言も、納得できるものからイライラ・ハラハラさせられるものまでと、じつに多彩なのが面白いですね。
このゲームがどこまでリアリティのあるものなのかは分かりませんが、あらゆるキャラクターが発する様々な発言に、裁判員制度の意義を感じました。
また、物語に関しても、四つあるストーリーのなかに「殺人」「放火」「重過失致死」「危険運転致傷致死」「集団いじめ」など、裁判員制度で取り扱われる主だった事件がうまく練りこまれているのにも感心させられました。
他の方も言っていますが、まさに作り手がユーザーに対して「裁判員制度のことをもっと知ってほしい」という意気込みが伝わってくる構成です。
ちなみに、アドベンチャーとしての出来ですが、こちらの出来もかなりのもので、予想外に二転三転する流れは、けっこう引き込まれます。
僕自身、先の展開が知りたくて、プレイを中断しようと思いつつ、なかなか止められず、困ってしまいました。
推理ゲームを楽しみながら、裁判員制度を覚えるゲームと考えれば、これ以上のソフトはないといってもいいかもしれません。
あと、蛇足ですが、登場するキャラは最初、さして印象を感じませんが、プレイしていくうちに、この女の子、可愛いなぁ、とか、この男の人、けっこう男前かも、なんて思えるようになってくるのがちょっと不思議。
裁判長や裁判官にたいしても、終盤にはけっこう魅力を感じてしまいます。
それだけキャラ設定がしっかりしている証拠なのかもしれません。

BAD/REQUEST

【システム・操作性】
他の方々と同じで、僕もテキスト送りが少し遅すぎるように思います。
一発で真相究明度100％になれば良いのですが、そうでない場合、２順目でも検察・弁護人の陳述を聞きなおさなければならないため、これはけっこうストレスとなります。
できれば１順した物語は、検察や弁護人の話はスキップできるとか、何日目のどのパートから始められるようにするとか、Ａボタンでは低速送り、Ｂボタンでは高速送りにできるとかの配慮をしてほしかったですね。
また、証人や被告の証言をメモする際、三択のうち一つしかメモできないのは、かなり疑問。
作り手が、裁判員制度に理解してもらいたいとおもったのであれば、聞きたいことはすべて聞けるようにする、という作りにした方が、良かったと思うんですけどねぇ。
あと、評議パートで証拠品や証言をリストから探すとき、間違いなく真実にたどりつけるであろう証拠や証言を選択しているのに、見当違いのような指摘をされるのは、正直イラッとします。
この辺は、もう少し柔軟性を持たせてほしかったですね。

【ゲーム性】
これは「裁判員制度」をテーマにしているため、仕方のないことだと思いますが、探偵パートがないため、アドベンチャーとして楽しもうと思っていた人には、静か過ぎる印象を受けるかもしれません。
でも、逆を言えば、ゲーム性に関する難はそれくらいなので、さほど問題はないんじゃないかな、と思います。

【物語・キャラクター】
物語の途中、何度も選択肢が出てくるのですが、たまに被告に対して「犯人だと思う」「無罪だと思う」といった感じの、先入観ありきの選択肢となることがあり、うんざりさせられることが何度かありました。
こちらは先入観を持たないようにゲームをしているのに、ちょっと残念。

COMMENT

いろいろと書いてしまいましたが、総じて言えばこのゲームはかなりの良作です。
他の裁判ゲームに比べ、抑揚の少なさやキャラの薄さは否めませんが、それらは豊富な情報とリアリティ、そしてしっかりとしたシナリオがカバーしています。
裁判員制度について勉強はしてみたいけど、どこから手をつけて良いのか分からないという人に、オススメしたいゲームです。