NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

裁判の流れは結構リアルに作ってあり、そこは評価できる。
加えて、法廷は有罪か無罪かを判断する場であることに徹している点も個人的には好感触。逆に言うと、シナリオをクリアしただけでは事件の詳細な真相はわからないということもあったりするのだけど、その辺は個人の趣味かな、と。

また難易度がかなり低く、クリアするだけならば黄色字の項目を選んで説得していけば問題なくエンディングに到達できる。何度も繰り返し遊べるほどの内容ではないので、これはありがたかった。

BAD/REQUEST

バックログが無かったり、タイトル画面に戻ることが出来なかったり、尋問をキャンセルできなかったりと、システムについては設計段階から手を抜いている感が強い。SIMPLEだから許されるだろう、という意識があるのかもしれないが、プレイヤーからしたら良い印象にはならない。

キャラクターは素人の目から見てもすぐわかるくらい、気合を入れて描いてるキャラと手を抜いているキャラの差が激しい。そのためか統一感に欠けているように思われる。そしてキャラ全体に言えることだが、どの人物も記号的に書かれているので、そこに薄っぺらさを感じてしまうのは否めない。

シナリオは見るべきところもあるのだが、裁判よりも別の観点が主となっているシナリオが幾つか存在することと、主人公が初めから被告人に対して先入観を持っているようなシナリオがあることは明確なマイナスポイント。このゲームをプレイする人間は裁判員を擬似体験したいのであって、それを妨げるようなものは別のゲームで表現すればよいのだから。

COMMENT

安かろう悪かろうのお手本のようなソフト。
周回プレイ用にプロセススキップが存在するのだけど、次の選択肢まで飛んでしまい、冒頭陳述のみをスキップしたりということはできなかったりして、こんなところでも痒いところに手が届かないなぁと実感させられる。あって困るということはないが、文章は全く読まず完全に選択肢を選ぶだけ、なんていう作業プレイをするような人が存在するとは思えないのだけど……。

あと、プレイヤーがやることは情報の取捨選択と提示のみなのでゲーム性はかなり低いです。こんなゲーム内容ならば、完全にノベルゲームにしてしまっても良かったのではないかな、と思うくらいに。このへんで趣味に合わない人もいるんじゃないかと思います。

裁判員のゲームとしてはシナリオに致命的な問題があるので、熱中度と満足感は低めにせざるを得ませんでした。ADVはシナリオさえ面白ければ、システムなどの小さい不満点はある程度目を瞑れるということもあるのですが、その肝心なシナリオ部分が駄目であったことは本当に残念です。もし次回作があるのであれば、シナリオライターを変えるなどして面白いゲームに変えて欲しいものですね。