NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・テンポ良く話が進む所
「話が短い」と聞いていたが、聞きしに勝るほどシナリオの展開が早く、銃を手にした後は何ら葛藤する事も無く政府の機関のスナイパーとして活躍していき、敵もありえない早さで幹部クラスが主人公に狙いを定め襲撃し始めてくるのであれこれ伏線の回収に戸惑わず話を楽しめる点が、ライトノベルを読むような感覚であり、忙しい現代人にマッチしてるかと。
またライトノベルの人気絵師文倉十氏を起用しており、その点でもライトノベル的と言えるだろう。

BAD/REQUEST

・狙撃シーン
このゲームの肝ともいえる狙撃シーンはミニゲームとなっており、敵の武器・無線機・爆破装置などを狙う事に成功すれば話が進むが、このシーンがなかなかに曲者である。
まずスコープの照準がどんなステージでもブレるため（ヘリの中や雷雨の只中ならともかく）狙いが定めにくく（一応「集中」モードにすれば短時間だが照準が定めやすくなるが制限時間は意外と短い）、その癖武器などを狙わないと失敗になるため異様に難しいことが短い話のテンポを阻害していた。
また後半になると弾数は文字通りギリギリで、一発のミスも許されないのに武器を狙わねばならないのはさらに厳しいものがあった。
一応２回同ミッションで失敗するとイージーモードでリトライできるが、集中モードの制限時間が最大になるだけであり狙うべきターゲット数は変わらず、結局イージーになっていないのも地味に辛かったし。
素直に人間を狙撃できるシステムならどれほど楽だっただろうか、とさえ思う。
・ストーリー
ハードボイルド物を狙ったつもりらしいが、ハードボイルドという言葉の足元に及ばない緊張感の無さ過ぎるテキストには呆れるしかなかった。
そもそも主人公もバイト先の服装やコスプレなどで狙撃任務に駆り出されていたり、主人公の上司も扮装やコスプレでボディガードしてたり狙撃直前だというのに呑気にハンバーガーを食べている点で一種のギャグかと錯覚するし、敵の組織も幹部が色仕掛けに引っかかって捕まえた主人公を離したりとまともなハードボイルド物を知る人間から見ると失笑しか浮かばない。
狙撃のシーンだってシナリオライターがハードボイルド物に付き物の「静寂の緊張感」が書けないから、下手なミニゲームでお茶を濁さざるを得なかったのではないか、とさえ邪推してしまう。
・システム回り
バックログがないため話を読み返せなかったことも、スキップ機能すらない為２周プレイするにもいちいち話を読み返さなくてはならない事も不満だが、用語辞典が変に充実しており（ゲーム内に登場する鈴木の語り口という形）、その癖その大半はどうでもいいこと（例えばキャラクターの服装違いとか）に埋められるためはっきり言って「無駄」としか言えず、用語辞典にあてる余力をシナリオに使ったほうが余程マシなシナリオになったのではないか？

COMMENT

何と言うか、「美少女」「銃」「ハードボイルド」とＤＳに足りない要素と人気絵師と人気声優を盛り込み、メジャーな媒体で宣伝を打って勝負に出たが、そこで力を使い果たしたのか、出てきたものは「ハードボイルド」というよりは「小学校の学芸会」レベルの緊張感がなく短いシナリオを、異様に難度の高い狙撃で誤魔化すようなチープな代物であったとしかいえない。
余程命知らずの人なら挑戦しても良いかもしれないが、初回特典のクリアポスター目当てで無ければ現在定価あるいはそれに近い価格で買うのは考え直したほうが良いだろう。