NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

・新たな追加ストーリーはないが、「剣風帖」とファンディスクの「朧綺譚」が一緒に移植されている。
・學園ジュブナイル伝奇という一ジャンルを築いただけあって、ストーリーは人をぐいぐいと惹き付けるものがある。仏教、神道など各種宗教、神話の知識があればさらに楽しめるだろう。もちろん知識がなくとも、作品内の解説があるのでストーリーを楽しむことに支障は無い。

・PS版と違い、本編で全員のキャラ別EDが到達可能となっている。

・「外法帖」と同じく、一話ごとにEDが流れる方式をとっており、よりドラマ的な演出になっている。

・新たなテーマ曲「七夕」（歌：やなせなな）が作品と非常にあっている。また、「外法帖」の楽曲も新たに挿入されていて、「外法帖」から入ったファンも作品に馴染み易くなっている。

・PS版では一枚絵だったキャラに動きが付いた。ADVパートがより面白いものになった。一部やりすぎというくらいに、よく動く。

・ロード時間の大幅短縮。

BAD/REQUEST

・致命的なバグがある。「螺旋洞」の４３問目がクリア不可能。主人公の設定時にタッチペンで決定すると初期ステータスのボーナスが無い。とあるキャラを仲間にする時、そのキャラのキャラ別ED条件を満たすためには、誕生日、血液型による初期感情補正を必ず利用しなければならない（二週目以降は、回避可能だが、回避するためには「螺旋洞」の全問クリアが必要）。
上記以外にも多数のバグがあり、そのほとんどが一度でもテストプレイをすれば分るようなもので、あまりに不具合が多い。

・メーカーのサポートが不十分。メーカーに問い合わせたところ（08年９月末現在）、「螺旋洞」のバグのみデータ修正という形で対応。完全版との交換、返金、返品には応じず、完全版の発売も予定無し、また公式サイトでの不具合の告知も予定無し。

・新たに追加された辞書機能が、ストーリーの進行を考慮しておらず、ネタバレを含んでいる。

・新たに追加されたグラフィックが、一部しか「講堂」に収録されていない。

・限定版の特典がネタバレを含み、初回プレイ者への配慮が無い。

・二週目の引継ぎ内容が変更され、商品の在庫個数が引き継がれなくなっている。

・戦闘パートで、移動中の技の効果の確認機能が改悪されており、一部の技の効果しか確認できない。

・セーブ箇所が４つと、内容のわりに少ない。「朧綺譚」とも共有なので、うっかり大事な「剣風帖」データに「朧綺譚」データを上書きしたら、あまりに悲惨。

・タッチペンでの操作がしづらい。読み戻し、自動読み進め、辞書などの機能でタッチペンを使用せねばならず、操作性が悪い。

COMMENT

はっきり言って今作は地雷である。購入する前に、バグやメーカーの対応を良く調べてから購入の検討をして欲しい。各種宣伝媒体で謳っている内容と乖離している。

魔人シリーズのファンで、「バグ覚悟で買う。」という人は購入しても良いかもしれないが、初見の人にはとても進められない。もちろん、バグが満載という点で薦められないのであって、移植元の作品は良作である。
私は、PS版を持っているのでその気になればPS版をプレイしなおせばよいが、入手しづらい「朧綺譚」を目当てで購入したファンや初見のプレイヤーは我慢できるものではないだろう。
メーカーの対応も一企業としてありえないものであり、バグを認めながら公式発表をしない態度は不誠実極まりない。

10周年記念として発売された今作だが、10年来のファンですら離れていくような出来であり、評価以前の問題である。
どうしてもプレイしたい方はPS版を探すことをおすすめする。