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GOOD!

クリーニング
　カセキ岩をクリーニングすることに大きな価値を置いたゲームです。バトルの勝利はドリルのひと削りほどの価値しかありません。とかく戦闘が育成やコレクションの手段とされるゲームが多いなかで、非常に個性的なRPGだと思います。この作業がおもしろそうに思えない人には、まったくおすすめできない作品です。
　クリーニング作業は、岩や化石の硬さや形状が多様なので、決して一筋縄ではゆかず、なかなかあきさせません。得点を更新できない(=恐竜を強化できない)結果になっても、「きふポイント」としてチャージされるので、作業が無駄になるということがなかなかありません。
　その他アタリ/ハズレの大きい「黒カセキ岩」の存在など、あきさせない工夫があります。

カセキバトル
　この作品のバトルは、『ポケモン』よりも『カードヒーロー』のようなカードゲームに近いもののように感じます。育成要素はシンプルかつ希薄で、カンストも早くて個体差がないので、チームの編成やフォーメーションといった戦術の勝負になり、なかなか奥の深さがあります。
　ストーリーの序盤で汎用性にすぐれた恐竜が全属性そろい、敵も弱いので、そのまま最後まで押し通せてしまい、バトルのおもしろさが見えてきにくいのですが、恐竜が増えてくると、好きなやつを主力にするにはどんな編成がいいかとか考えることができて格段におもしろくなってきます。

グラフィック
　恐竜のデザインが、かなりブッ飛んだアレンジですが、そのおかげで個性が強調されていて、おもしろいです。ポリゴンも恐竜に関しては上質なほうだと思います。モーションも派手で見ごたえがあります。
　かたや人物の造形は、子どものリサイクル工作みたいなユルユルなクオリティですが、見慣れればそのユルさがよく思えてこないではないです。ストーリー的にも、壮大なSFに飛躍するものの、基本的にジュブナイルの王道ですし。

恐竜以外の古生物
　翼竜や首長竜、さらには新生代の絶滅哺乳類なども多く登場するので、古生物ファンにはうれしいです。

ゲーム単体での完結性
　2バージョン間で交換とか、アドバンスのソフトから連れてくるとか、イベントでのみ配布とか、そういう商法とは無縁ですので、このソフトひとつで、すべての恐竜が収集できます。この手のコレクション主体のRPGにおいては、それだけで「完成度が高い」と言えてしまいそうです。

BAD/REQUEST

WiFi対戦ができない
　最大の欠点です。本来あるべきものがない、というかんじです。

一部サポート効果の異常な高さ
　とあるリバイバーのサポート効果がひどい。相手前衛の攻撃力と防御力を90%下げるので、どんな相手だろうとほぼ無力になります。COMが相手だと、彼を最優先につぶすことにこだわらない場合が多いので、事実上バランス・ブレイカーになっています。まあ使わなければいいんですけど。

クリア後の育成のしにくさ
　クリア後には道端のホリダーたちも強くなって、もらえるバトルポイントが増えるのはいいが、ランク7や8あたりの新参リバイバーを育てにくい。サポート効果の異常な彼に付き添ってもらえばいいのですが、それでチームの1枠を消費するわけだし、バトルがおもしろくなくなるし。

ほうせき岩の争奪戦
　採掘エリアで掘れる「ほうせき岩」がおもな収入源になりますが、掘りあてると必ず他のホリダーとバトルになります(岩をあきらめて断ることはできます)。戦闘に勝つとお金がもらえる、というRPGのお約束をこういう形で表現したことは評価できるが、これはこれで理不尽。バトルポイントも1しか増えない。クリア後なんかはお金がいらなくなるので、断りっぱなしになるが、それさえもちょっと面倒くさいです。

まれに掘れないところに岩がある
　カセキ岩はエリア内でランダムに配置されますが、エリアガイドの真下などにあると掘れない。たいしたことではないですが、すごく気になり、あのブドウはすっぱいとでも思ってあきらめるしかないです。

一部クリーニング難度の異常な高さ
　ストーリーがすすむにつれて、むずかしいカセキ岩が増え、クリーニングで満点を取るのが困難になってきます。それはよいのですが、某恐鳥の頭部なんて満点は絶対に無理じゃないだろうか。

古生物の数
　欲を言えばキリがない部分ですが、水属性にせざるをえないからか、魚竜と海トカゲが1種だけ、というのがさみしい(ただし首長竜は3種いる)。代表的なイクチオサウルスやモササウルスがいてもよいのでは。また、恐竜よりあとの生物が出るならば、ディメトロドンやダンクレオステウス、アノマロカリスなど、恐竜より前の生物もほしいところ。

COMMENT

　些細な難点は少なからずありますが、それを凌駕する「基本作業そのもの」の魅力により、本編は熱中できると思います。ストーリーの牽引力というより、発掘エリアを増やしたいということでモチベーションは維持されるでしょう。
　クリア後にはものたりなさが出てきます。カセキバトルのおもしろさがクリア後にでもならないと見えてこないにもかかわらず、身近にプレイヤーがいなければ、それを満喫することができません。
　しかし、やはりクリーニング作業のおもしろさが絶大なので、いったんあきてもまたいつか掘って削りたくなると思われ、意外と末永くあそべる作品かと思います。