NintendoDS mk2 - ニンテンドーDSの参加型レビューサイト

GOOD!

「メテオス」はメテオ（ブロック）の出現と消去の場所が同じ一つの画面上方であるということで、リスクとリターンが表裏一体であるという着眼がよかった。また、DS用ということで、十字キーの操作性を捨ててまでタッチペンを重視したのは苦渋の選択であったろう。
音楽も非常に作り込んでいて、各ステージに相当する「惑星」の特色や、プレイヤーの気持ちを代弁するピンチ時音楽やファンファーレの使い所・凝りようが秀逸。
ムービーの出来などグラフィックについては他の人も語っているので取り立てて述べない。「惑星」は生息する宇宙人のキャラクター立てを視覚・聴覚面で存分にしていて評価すべき。

しかしなによりも、パズルで一番重要な「中毒性」を十分に備えていて、ハマる人は本当にハマる。これが全てであろう。
ちなみに私はまだ対戦プレイをしたことがないので残念。だが、上級者同士の対戦でもびくともしないあたりはさすがだと思う。

BAD/REQUEST

このゲームは面白かっただけに、目に付くことも多かった。「『メテオス』はゲームこそいいが未完成だ」、との声も聞かれるが、確かにその通りでいわば「DSの実験作」と評せざるをえない。

（難易度の高さ）
まず正直に言って、やり込む時間および根気の無いプレイヤーには全く勧められない。非常に手応えがあるのだが、初心者にはそれが辛い（プレイにスピーディーさを求めているため、大体3分が「壁」になってしまう）。まずは、緩やかな難易度上昇に設定できてもよかったのでは。
また、桜井氏の担当するゲームではよくあることらしいが、殆どが隠し要素である惑星を全部集めてからがやり込みスタート！、という事情を考えると、面白さを全部飲み干すには時間が懸かりすぎる。

（以下はすべて、快適度の点数が下がっている理由）
説明書もある種ノリを重視していることも目に付くが、「メテオス」はDSのおためしサービスやインターネット公式サイトの情報がかなりのウエイトを占めていたため、それらに触れられなかったプレイヤーは大きな溝を感じたであろう。取っつきやすさは精神的に「難易度」にも関わる。

操作の件だが、メテオの大きさには残念に思われている人も多い（自分もよく誤操作を犯すので。無論大きくしすぎても代償を払うので妥協点なのだろうが）
また、タッチペンを酷使するため保護シートは必須、付属のタッチペンは短くてプレイに適さないのでPDA用スタイラスなどを買った方がいいなど、いざやりこむとなると前準備が多くなるのは厳しいかもしれない。

そして、やり込みをしているプレイヤーにとって、バグや仕様の中に非常に致命的なものがあった（メニュー表示のバグはそれからすればささいなものだ）。打ち上げ時に塊がめり込んだりと予期せぬトラブルで高次点火が失敗したり、ある惑星では処理落ちの激しさのためにタッチペンが機能せず十字キーの併用を迫られ（これはDS側のスペックで仕方ないのか？）、またある惑星ではバグのために制作側の意図しない高得点が出てしまうケースもあり、自分の記録が消されてしまうなどの憂き目に遭う（このバグは本当に残念である）。また、ポーズ中にメテオを隠してくれないため「ポーズ技」なんてのが横行するのはスコア稼ぎのゲームとして論外（制作班はどうして気付かなかったのか？）。
やり込ませて頂いたプレイヤーとしては、最低でもゲームの根幹に関わるバグとポーズの仕様が直っていれば（次回作が万が一あれば、だが）嬉しいことこのうえなかった。

COMMENT

パズルゲームは、「テトリス」や「ぷよぷよ」など完成形が早い時期に出てしまったジャンルである以上、開拓が難しいことを前提に話をしないといけない。本当にパズルはクリエーターにとって死のジャンルだ。「メテオス」が世に出たことにはちょっとほっとしている。

ここまで長くプレイヤーのサンドバッグになってくれるゲームというのは、本当に少ない貴重な一品だと思う。現に、これだけの欠点を列挙してまで、私は「メテオス」を楽しくプレイさせていただいている。ネームバリューにおんぶにだっこするのが一番穏当という時世の中で、当たる見込みもないようなソフトにできる限りの心血を注ぐというのは偉いことだ。
そして、高みを目指すプレイヤーばかりに気を取られずに、気軽にやりたいプレイヤーの要望もできる限り満たす懐の広さもゲームには必要なのだと思った。

このゲームは試遊するのが第一だろう。お試し版も友達から配れる。触ってみてビビッときたら、ぜひラインナップに1本加えてみてはどうだろう。