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GOOD!

DSiウェアで配信されていた「アトリエ デコ ラ ドール」シリーズの5バージョン（テーマ）を、1つのソフトに収録したもの。

ほぼDSiウェア版のベタ移植なので、すでにプレイ済みの方にとってはもちろんの事、元がシンプル趣向な内容なので新規プレイヤーにもすぐに入り込めると思われる。
いくつか用意されたテーマや素材を好きなものから選んで、ドールの着せ替えを行っていく。
また、着せ替え以外にも、プリクラ風の背景をデザインしたり、複数のドールを同じ画面に表示する事もできる。

ドールや素材等のグラフィックは、一昔前の少女漫画チックな雰囲気があってなかなか良いと思う。
プレイヤーの仕方次第ではちょっとしたアーティスティックなデザインが行える。説明書に表記されたデザインの一例は軽く感激を覚えるレベル。

BAD/REQUEST

まず本作の販売価格設定がおかしい。どう考えてもぼったくり販売としか思えない。
DSiウェア版は1バージョンあたり500DSiポイント（円）の価格だが、単純計算で本作の価格は「5バージョン×500円＝2500円」あたりが相場のはず。
にも関わらず、本作は定価税込3780円の販売価格。推定相場よりも1280円の値上げをする必要がどこにあったのだろうか?

割高販売にくせに本作独自の新要素が非常に少なく、DSiウェア版から買い替える・もしくは本作から入る理由も皆無。
「DSiウェア版よりもセーブデータが少し増えた」「ドールの回転や拡大縮小等が行えるようになった」「基本システムの改善」「3DSのカメラ機能に対応」と、
バージョン更新レベルのものしかない。
5つのテーマを収録しているのに、デザイン中のドールに違うテーマの着せ替えができない仕様なのも謎。別のテーマの組み合わせに何か不都合でもあるのだろうか?

DSiウェア版も各テーマの素材が同期の同ジャンルと比べてもかなり控えめだが、それをそのまま収録した本作は深刻な素材不足が目立つ。
公式によると収録素材は600種類以上と表記されているが、他のDS・3DSのミドル～フルプライズソフトにおける着せ替えゲームは明らかにその数倍クラスの種類がある。
「ドールの髪や肌の色・及びポーズが指定できない」「テーマによっては目の形が指定できるものとできないものがある」等、創作の自由度を狭める要因が多いのも気になる。

新テーマは追加されておらず、ゲーム性やドールを動かす（動いてくれる）等の要素もないため、ちょっとプレイするだけでも飽きるのが本作最大の問題点。
DSiウェア版は「安価だし、ドールの着せ替えツールと割り切れば・・・」と納得できる面もあったが、
本作はミドルプライス販売な上にほぼDSiウェア版からのベタ移植であり、どう考えても価格と内容が割合っていない。

メインBGMは5曲から自由に選べるが、ランダム演奏機能がないので、いちいち曲の選択をしなければならないのが面倒。曲自体も悪くはないが若干地味な印象。

ドールのセーブデータが10箇所あるが、この手のゲームにしてはセーブ箇所が少ない。いくら素材が少ないとはいえ、600種類もの素材を組み合わせるとなると10箇所では足りないのでは。

COMMENT

クリアの概念はないので未クリア表記で。
5時間分プレイしたものの、内容が内容なだけに大半の時間は完成した絵を眺めるだけの放置プレイになってしまった。

ゲーム内容以前に販売方法に悪意を感じる一作。シンプル趣向の着せ替えゲームにろくな追加要素も加えずに平然と値上げ同然で売りつける意味が分からない。
正直、ゲームとしてはあまりにも薄い内容なので、熱中・満足度を付けるのは不可能に近い。よほど収録されたドールやテーマ等に愛着がない限りは、モチベーションが続かないと思う。

本作発売から約半年後に、3DSダウンロード専売ソフトである「きせかえ人形 アトリエ デコ ラ ドール コレクション」がリリースされたが、
本作の移植に加えて素材の色指定ができる新要素が追加されて864円という破格販売らしい（公式サイトより）。
「最初からそっちを発売してくれよ・・・」と公開しても後の祭り（泣）。