SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員 1つの真実、6つの答え
中央値: 68 Amazon点数: 3.7
スコアーボード
標準偏差 16.13 難易度 1.67 mk2レビュー数 9ユーザーレビュー
(デフォルトは中央値近順)オリジナリティ | グラフィックス | 音楽 | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | 難易度 |
---|---|---|---|---|---|---|
5pt | 4pt | 3pt | 4pt | 4pt | 2pt | 1pt |
75pt
GOOD!
アドベンチャーゲームの中でも極めて質の高いテキスト(ストーリー)と魅力あるキャラクターだと思います。基本的には読み進めて行くだけのノベルに近いゲームですが、キャラクターの立ち絵もそれなりに種類があり、DSの2画面を上手に使うことで強調シーンのメリハリが利いているためぐいぐい引き込まれます。今までになかったシナリオの方向性にオリジナリティ5ptです。
各話の判決は多数決で決定されるため、全員の説得を諦めれば誰でも初回プレイで難なくクリア可能です。全員の説得を目指すとやや難易度が上がりますが、成功しても特に話に変化はなくご褒美もほとんどありません。それでも、ゲームと分かっていても全員一致の評決を出したいと思ってしまうから不思議ですね。
システム周りでは一度クリアしたシナリオの高速スキップ、シーンスキップは快適でした。
BAD/REQUEST
バックログが無い点とセーブ周りが不親切な点はちょっと手抜きしたなという印象は否めないですね。また本作で唯一「ゲーム」している場面である評議における説得コマンドですが、単調な作業の繰り返しになり飽きやすい気がします。ただSimpleシリーズなので変に複雑にするより、これはこれで良かったのかもしれません。
ストーリーに関しては、かなり現実的で基本的に「重い」ので、推理ものやサスペンスのような大逆転はありません。また、脚本にやや汚い言葉(ハゲ・デブ・あばずれ等)の連発が見受けられる点、死刑廃止派の立場の人には辛いシナリオが多い点は少々気になったので言及しておきます。
COMMENT
シナリオのボリュームは大体15?20時間でしょうか。難しい用語連発のテキストが多いので読む速さが人によって変わってきそうです。
基本的にボタンを押してればゲームが進むという点ではまさにSimpleなゲームなのですが、ストーリーはSimpleとは呼べず相当重いです。裁判員が正しい判決を出しても、関係者が全く救われること無く裁判後にさらに人生を踏み外しているケースもあります。
ストーリーの面白さはもちろん、脚本の遠藤氏の創造力によるものですが、私は「裁判自体が持つ面白さ」もあるのではないかと思います。現実に刑事裁判を傍聴すると分かりますが、普段親しい友人にすら話さないような心の内や、醜い家族関係等が暴露されることも少なくありません。何度か傍聴経験がありますが、どんな映画よりも面白い現実のドラマです。遠藤氏の力で裁判の持つ魅力・可能性がゲームシナリオとして十分に発揮されたのではないでしょうか。
Amazonレビュー
レビュー者: ほるくまくん レビュー日: 2011-09-23今まで放置していたのがもったいないくらいには面白いです。
ただし、私は逆転裁判のファンでもあるので、どうしてもちょっと比べてしまいますね。やっぱり画面の構成とかシステムはすこし似ているかな。まあ、昔、スーパーマリオがアクションゲームの基礎を作ったみたいなものでしょうか。
さて、この手のアドベンチャーゲームの場合、まず文章がきちんとしていることが重要だと思うのですが、日本語としておかしい部分や誤植の多さが気になってしまいました。デバッグの時に気をつけてほしいものです。
ただ、シナリオにはかなり意外性もあり、キャラクターも悪くありません。
それに、現実に裁判員制度が始まった昨今、あらためて国民が裁判に参加するという意義について考えさせてもらっています。
特に、日本の刑法上、確定したら本当に死刑しか罰がないケースがあるということ、そしてそれが場合によっては裁判員裁判になりうることは勉強になりました。調べてみたらこの罪に対してしかないみたいですが(殺人罪その他は量刑あり)。
シナリオ&システム上、正しい判決に導くには方法が1つしかないのですが、自分がこの事件の裁判員だったら違う結論もあり得るかも、とか考えつつ。難しいものですねえ。その辺、プレイヤー自身が思った有罪・無罪にはならないので注意が必要ですね。
むろん、現実の裁判員裁判では、正しい裁判を見抜けるえんま大王の使いの猫も、気弱な裁判員に憑依するユーレイもいませんから、もしも選ばれたら最終的には自分の見識がたよりです。そういうことがあれば、しっかりとつとめたいと思いますね。
アクセスランキング
-
テイルズ オブ イノセンス
■価格:6090
■発売日:2007-12-06
-
レイトン教授と不思議な町
Wi-Fi対応
■価格:4800
■発売日:2007-02-15
-
ウィッシュルーム 天使の記憶
アドベンチャー、振動カードリッジ対応
■価格:4800
■発売日:2007-01-25
-
すばらしきこのせかい
タッチアクションRPG
■価格:5980
■発売日:2007-07-27
-
世界樹の迷宮
3DダンジョンRPG、(Best版:2010年7月15日発売)
■価格:5229
■発売日:2007-01-18
-
ポケットモンスター ブラック/ホワイト
RPG、Wi-Fi対応
■価格:4800
■発売日:2010-09-18
-
真・女神転生 STRANGE JOURNEY
RPG
■価格:6279
■発売日:2009-10-08
-
逆転裁判4
法廷バトル、(廉価版、2008年4月24日発売:2,100円)
■価格:5040
■発売日:2007-04-12
-
ドラゴンクエストIX 星空の守り人
ロールプレイング、ワイヤレスプレイ(2人?4人)、Wi-Fi対応
■価格:5980
■発売日:2009-07-11
-
遊戯王 ナイトメアトラバドール
対戦型カードゲーム、OCGカード3枚付属
■価格:5040
■発売日:2005-07-21
GOOD!
画面デザイン等の基本的なゲーム構成は逆転裁判以降の法廷モノのフォーマットに近いが、主人公の立場はあくまで裁判員であり、そのため自分たちで捜査をして情報を集めるのではなく検察や弁護人が集めてきた証拠や証人の発言など「裁判の中で正しい手順で認められた証拠」を基に判決を下す。
証拠からの情報取捨選択や評議の内容は推理の領域に近いため、やっている事はいわゆる安楽椅子探偵に近い印象。
そこに裁判員ならではというか「他の裁判官/員の説得」という要素が追加されている。
相手の立場や嗜好を踏まえて「どういう内容で説得すれば正しい判決の方に傾いてくれるか」を考えながら説得を進めていくのは新鮮だった。
特筆すべきはストーリー。
全5話の全てが、所謂「勧善懲悪」的な簡単な話ではない。
主人公の相棒に被告人の嘘を見抜く能力があるため、被告人が(訴えられた罪において)有罪なのか無罪なのかが事前に分かるのだが、被告人やその周囲の人々にはそれぞれの事情があり「正しい判決」を迎えたとしてもそれで万事解決という事にはならない。
被告人や周辺人物、そして主人公自身の去就も含めて、何が正しくて何が幸せな結論なのか、常に意識させられる。
裁判というものの「重さ」のようなものを前面に押し出しつつ、ゲーム的なドラマ性も豊富に盛り込まれているのは見事。
また各裁判で登場する6人の裁判員たちは基本的に法律の素人であり、それぞれの価値観や都合によって判決を出そうとしている辺りの描写もきっちり行き届いている。
ストーリー展開と併せて、数多くの登場人物達による味のある掛け合いも実に秀逸。
各裁判でレギュラーの裁判官3名+裁判員6名。
例外1名を除いて裁判員は全5話で全て違う人物。
被告人や証人などを加えるととんでもない数であるが、その全ての人物描写にかなりの力が入っている。
キャラ立てや本筋がしっかりしている分、時折差し挟まれるお笑い要素も引き立つ。
主人公が裁判員に憑依するたびに悪寒を感じる堅物裁判官は実にオイシイと思う。
全5話で各話全てにボリュームがあるので、この手のゲームとしてはやり応えは十分。
全員完全説得のパーフェクトクリアというちょっとしたやりこみ要素もあり。
人物図鑑や用語図鑑により世界観をしっかりフォロー。
特に人物図鑑はゲーム内では語られないような細かい設定まで触れられており、更に立ち絵ギャラリーにもなっている。
クリア後のシナリオは話単位でリトライ出来るようになり、チャプタースキップも出来るようになるので各話個別でパーフェクトを狙うのも比較的やりやすくなる。
タッチペンを使わなくても全ての操作が可能なのは好印象。
音楽は緊張感のあるシーンをうまく盛り上げてくれるものが揃っており中々良い出来だったと思う。
BAD/REQUEST
評議フェイズがイマイチ。
自分以外の裁判員と裁判官を「正しい判決」に導くために説得する「評議」。
数ある証拠の中からその裁判官/員に有効と思われる証拠を話題として振る事で心証を傾けようとするのだが、これが主人公と相手との1on1を8人に繰り返すシステムになっている。
基本的に完全説得するまでは全員に話しかける事になるので個別説得は冗長な印象。
評議という雰囲気的にも、振った話題に全員が同時に参加して話し合い、説得度は個別に変動、形の方が良かったのでは。
セーブ・ロードのシステムがイマイチ。
セーブできるタイミングが結構限られている。
またロードはセーブした箇所からの再開ではなくチェックポイントからの再開になる。
説明書で秋月裁判官が必死に謝ってはくれているが・・・自覚があったのなら直して欲しかった。
バックログがないのが残念。
誤植がしばしば見受けられる。
あまりに雰囲気やテキストが本格的なため、第1話の時点では展開や用語に敷居の高さを感じやすい。
COMMENT
ゲームである事を逃げとしないストーリー進行が最後まで徹底されており、いい余韻を持ってスタッフロールを眺められました。
ただ、判決以前のテーマ性がかなり強い話も含まれているので肌に合わない人も居るかもしれません。
また、主人公達だけ「正しい判決」を知っていて、それに伴い他のメンバーが「正しい判決」に流れてさえくれればよい、というシステムになっており、難癖みたいな論拠で無理矢理心証を操作するような選択肢も取り得る仕様です。
なので、純粋に公平な目線で「裁判員」としての立場を楽しみたい人にはオススメできません。
まぁ裁判員シミュレータ的なゲームではないのは主人公の設定だけ見てもすぐわかるとは思いますが・・・。
読み物としてはかなり高評価ではありますがゲームシステム的には粗削りな面もあるので、そこは値段相応とでも言いましょうか、もうちょっと頑張って欲しかった。